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Eternal White

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「……ええ。それでしたら、グウェンダルも反対しないと思いますよ」
 事故の報告しか届いていないのに、助かることを疑いもしていない。そんなユーリの強さに、コンラッドは少しだけ肩の力を抜く。
 正直なところ、弟が無事見つかる確立は半々だろう。ビーレフェルトの出城から1日の距離あたりで遭難したと、報告にはあった。であれば、天候さえ回復すれば自力で戻れる。だが、一番怖いのは、自分たちの位置を見失うことだ。
「ところでコンラッド。あいつが前に遭難したことがあるって、初耳なんだけど」
 暗くなる思考を、ユーリの声が遮る。
「え? ああ、それはそうでしょうね。それは小さいときでしたから」
「……そんなガキのころのこと、覚えてるのか?」
「そこは大丈夫。また遭難しても大丈夫なように、対処法を嫌というほど母と一緒に叩き込みましたから」
 そう、もし場所を見間違えず、かつ怪我を負っていないのであれば、ヴォルフラムは大丈夫。1日2日程度なら、生き残れる術を教え込んでいる。それを今は信じるしかない。
「そりゃ……忘れられないよな」
 乾いた笑いを浮かべるユーリに、コンラッドも目元を緩める。
「それに、俺たちが教え込む前から、あいつはちゃんとひとりで避難できてたんですよ。熊さんに助けともらったって話していましたけど」
「熊さん……?」
「ええ。そう言ってましたよ」
「ヴォルフラムって猛獣使いだったんだ!?」
「それは違うと思うけど。……熊ねぇ」
 こちらの世界の熊は冬眠するのだろうか。そんな最中の熊にくっついていたのか。どっちにしろ、危なっかしい話だ。
「その話は帰ってきてからちゃんと聞くとして」
 よし、と声を出して立ち上がる。不思議そうにユーリを見るふたつの視線に、肩を竦めて見せた。
「ビーレフェルトに行く準備、しようぜ。雪が止んだら、あいつの顔を見に行きたいから。婚約者に会いに行くのを、止めるなよ」
 後半はここに居ないふたりに対して。名付親兼護衛役は、分かりましたと頷いた。

 旅の荷作りはコンラッドに任せ、ユーリは宝物庫へとひとり向かう。
 何もないだろうが、魔王の旅に魔剣モルギフは欠かせない。あんなへなちょこな剣でも、いざというときの頼りになる。しかも今回は、いざという確率が高い。
「……お前の力で、ヴォルフラムの所にすぐ行けたらいいのにな」
作品名:Eternal White 作家名:架白ぐら