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Eternal White

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「子ども扱いするな。ってか、陛下って呼ぶな名付親」
 そんないつものやり取りに、拳をぎゅっと握って婚約者は激しく睨み付けて来る。ちょっと前までは「この浮気者!」と噛み付いてきていたのだから、たいした成長だ。
 無論、今がそういう場でないという理由もあるけれど。
「それで、お前はいつ出発するのだ?」
 我関せずを貫くグウェンダルが、色々と書き込まれた眞魔国の地図を確認しながら問いかける。各地の被害情報をできるだけ把握しようとしているらしい。その傍には、アニシナ印の魔動装置『照れ照れ坊主君』がはじき出した気象予報が、巻物のように長い紙を吐き出している。
「明日の朝にでもと考えています。今、移動の準備をさせています」
「それがよいだろう。日が落ちたら、無理はせず街で休め。今のところ『照れ照れ坊主君』の予報では、今日明日の雪の心配はないが……夜は気温が下がる」
 巻物を広げ、確認しながらグウェンダルが頷く。
 3日と置かずに降る雪は、本日は小休止。今とばかりに各所で伝令が飛び交い、兵らが慌しく血盟城を出入りしている。その中に、濃紺のフォンビーレフェルト家の軍服も見て取れた。
「分かっております。ビーレフェルトに戻ってからのことを考えると、急ぎたいのは山々ですが、無理は出来ません」
「……気をつけて行けよな」
 多分、この場にいる全員の気持ちを代弁する言葉に、ヴォルフラムは彼らしい笑みで答えた。



 白い世界の中に、青と灰色の外套がうごめく。
 フォンビーレフェルトの部隊が出立のため、準備しているのだろう。
「ユーリ、では行ってくる」
 ドアをノックして、返事を待たずにヴォルフラムが部屋の中に入ってくる。すでに外套まで着込んだ彼は、本当に出立の挨拶に立ち寄っただけのようだ。
「うん。気をつけて行って来いよ。無理すんな」
 窓際から離れヴォルフラムに近づくと、部屋の中は暑いのだろう高潮した頬を撫でてやる。
「……ユーリもな。手が、冷たいぞ。ぼくがこちらに戻ってきたときに寝込んでいたら、許さないからな」
 白い肌は思ったより温かい。くすぐったそうに目を細め、彼は笑う。
「大丈夫だよ。それに、お前が戻って来るのは春先だろ? だったら寝込んでいてもバレないっていうかさぁ」
 その顔に、ちょっとした思い付きで冗談を投げてみる。途端に、笑みが引っ込み鋭い視線が飛んでくる。
作品名:Eternal White 作家名:架白ぐら