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王子様とゲーム。

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「というわけで、改めまして王様ゲーム! さん、はい、王様だーれだ!」
達海の音頭に、集まった手がばらばらと箸立てに突き立つ割り箸を引いてゆく。
達海の煽りが大したものなのか、それともETUメンバーが揃って単純なのか、気づけばゲームの参加者はこの食堂にいたほぼ全員になっていた。無礼講の名のもとにレギュラーメンバーは無言の圧力による強制参加で、達海とテーブルを囲んでいた後藤や松原までくじ引きに参加させられている。
「ハイ、王様はだれだー?」
「あ、俺ッス」
テーブルを隅に片づけ開けたスペースに、円を描くように集まるメンツを達海が見遣れば、床へと直に腰を下ろしていた中から、清川が控えめに手を上げる。
「じゃ、王様命令をどうぞ」
「じゃあ、13番と21番が尻文字で自分の名前を書くとかどーっすか?」
「ンだよ! キヨ、覚えてろよ!」
「キヨさん……」
一発目ということで些か緊張した面もちの清川がおそるおそると口にした瞬間、輪の中に悲鳴と笑い声が起きる。苦笑いしいしい立ち上がったのは丹波と宮野だった。
「ホラ、13番と21番立った、立った!」
「しっかりやれよー!」
笑い混じりのメンバーに促され、開き直った丹波と宮野が腰に手を当て尻を振り更なる笑いを誘った。
続けて王様を引き当てたのは黒田で、なんだかんだとノリのいい黒田は世良と赤崎に女子アイドルグループの歌を振り付きで歌わせていた。
その次の王様はこう言うときは外さない吉田。喧嘩の名残を引き継ぐ吉田は、つまらなそうな顔をして続けてハズレを引いた赤崎と後藤とに肩を揉ませて「いつも通りじゃない」などと溜め息を吐いていた。
そうしてその次は堺。ストイックな堺は彼らしく『プロテインの一気飲み競争、負けたら一発芸』を命令し、椿は石神と苦い顔をして不味いと評判のメーカーの、しかもわざと適当に溶かされダマの浮くプロテインを一気飲みすることになった。辛くも勝利をしたが、ぬるりとする口内に辟易する羽目になった。
「おう、ラッキーじゃん」
洗面所に行って口を濯いで戻ってくれば、次のくじ引きで世良が割り箸を回していた。無造作に籤を引きながら、達海が口を開く。
「ラッキーって……なにが、ッスか?」
どろどろとしてまずいと評判の物を飲まされてなにがラッキーなのだろう。少しばかり恨みがましい気持ちで問いかければ、達海は己の箸先を眺め おまえの字、ちっちぇえな、などとどうでもいいことを口にする。
「いや、こう言うのって先にやった方が絶対得なんだよ。クジってもんはさ、不正でもしてない限りみんな確率は平等だろ? だから、さ……」
「?」
「王様だーれだっ!」
なにを言いたいのだ? 首を傾げている隙に、世良が大きな声で音頭を取った。次の瞬間 ふっふっふ、と低い笑い声が起きる。
「じゃあ10番が3番の尻にケツキックで……」
先ほど連続でハズレを引いた赤崎が、どこか不穏な笑顔で立ち上がった。無言の圧力で強制参加させられた上に振り付きで踊るなどと恥ずかしい真似をさせられて、赤崎は静かに怒りを蓄積している。その顔を指さして、達海が ホラ、と呟く。
「ホラな? こう言うのってハズレ引いた奴が王様になって罰ゲームがだんだんえげつなくなってくんだよ――あ、俺10番ね」
言って立ち上がった達海は、いつも通り飄々とした仕草で、けれど遠慮なく夏木の尻に蹴りを入れていた。
作品名:王子様とゲーム。 作家名:ネジ