セオリー(短編集)
あなたとの日々がすべてだったんだ
※マリみてパロです
「ご卒業おめでとうございます、お姉さま」
「もう、葉月ったら。そんなに堅くならなくてもいいじゃんかー」
「無理です。お姉さまがふざけてるんですから、私が止めなくて誰が止めるんですか」
「遥さん?」
「遥さまはこの際関係ありません」
「ていうか、葉月は遥さんのこと、名前呼びなんだよね」
「ええ、今は――今日までは、お姉さまがやはり紅薔薇さまですから」
「明日からは、葉月の番だけど」
「はい」
「だったら私も、名前で呼んでもらえるよね?」
「……お姉さまは、お姉さまです」
「やだ」
「やだ、って」
「葉月、それならロザリオを寄越して。姉妹関係で縛られ続けるなんて私は真っ平よ。やっと、葉月を本当に自分のものに出来るって思ったのに」
「………………」
「お願い、葉月。お姉さまからの最後のお願い。――こんなに好きなんだよ、私」
「………………」
「葉月」
「これからもずっと、ですか」
「葉月っ」
「落ち着いて下さいよ、……葵さま」