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お前にしがみ付きたい

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柳生はびくりと肩を震わせる。
「最近、俺らどこも行っとらんし、ほら、今週からお前の見たいって言っとった映画やるけん、あれとか一緒にどうかなって」
遊園地とかカラオケは好きやないって言うとったけえ、映画とか落ち着いたもんならええじゃろ。
俺はにこにこと続ける。
うん、ぶっちゃけ、どこだっていいのだ、俺はお前と一緒なら。お前が楽しいなら俺は嬉しい。お前の、楽しかったり嬉しかったりする顔を、俺はもっと見たい。もっともっと一緒にいて、お前のいろんなところを知りたい。
「そんかし、その後は俺に付き合ってくれな」
「・・・・・・どこに?」
「んー?どこでもええよ。ただ、すぐ帰るのはつまらんから、どっかちょっと遠回りとか、そんな。どっか行きたいとこあるか?」
「・・・・・・・・・いえ・・・」
「なら、うーん、公園・・・も子供っぽいし・・・こんなふうに喫茶店とか入ろか」
「仁王くん」
「うん?」
柳生は真剣な口調で言う。
しかし俺はまだ気づかない。
俺は柳生が好きで、幸せで、柳生も俺と同じ気持ちだとばかり思っているので、柳生の気持ちに気づかない。
「・・・・・・」
「なん、柳生」
お前が好き。
と、しか、考えられないのは不思議なことだ。
お前を見ると、頭の中が「好き」ということでいっぱいになってしまって、その他の全てのことは理解不能になる。
お前が好き。
好きで、好きで、好きで、好きで、好きで、好きで、
「別れましょう」
好きで、・・・・・・?
「え」
「いえ、別れたいです。別れてください、仁王くん」
「ちょ、え、やぎゅ、待って、待・・・」
俺は頭を押さえる。
別れる。別れるって何だ?
理解不能。理解不能。理解不能。理解不能。あれ、これってお前を好きってことに関係あるのか?
「待って、柳生、待って、分かるように、俺にも分かるように、言って」
わからない。何を言われたか、とか、何で言われたか、とか、柳生はいつからそう思っていたのか、とか、本気なのか、とか、わからなくて、俺は、おしまいにしようと言われたことは分かっても、あまりにそれが唐突すぎて、
一秒前と、柳生を好きな気持ちが何も変わらなくて混乱する。
おしまいにする。ということは、この気持ちを全部ないことにしろということ、なの、か?
一秒前まで、俺は柳生が好きで、俺と柳生は恋人としてここに座っていて、
作品名:お前にしがみ付きたい 作家名:もりなが