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ペルソナ2 周防兄弟SSまとめ

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仮定




 どれだけ想っても現実は一生ひっくり返ることはないんだからそんなにいちいち考えなくてもいいじゃないか。あったことはあったこと、なかったことはなかったことでどうして割り切れないんだろう。
 例えばなんて仮定はいらない。もしもなんて言葉ではどうやったって抗えない真実はいつだってどこにだってすぐ目の前にあるんだから。
 だからあんたは俺の兄だって何度言えば気が済むんだ。

 ウンザリとするまでに聞き飽きた言葉をまた兄は繰り返す。
「僕はお前の兄なんだからな」
 いい加減にしろ。そんなことはただの事実だ。だからどうした。あんたは確かに俺の兄貴で俺は確かにあんたの弟でそれが一体どれだけの威力があるって言うんだ。兄だからどうした。弟だから何だ。兄弟って何だ。
「うるさい」
「達哉!」
 お説教を聞くのも嫌で椅子を蹴るように立ち上がり部屋に戻ろうとする俺の腕を兄が掴む。力は今、俺の方が若干強いことをこの兄貴は忘れていやしないか?大体あんた、年なんだから無茶するなよ。
 何だよこれ。俺が労わってるみたいじゃないか。労わってる?誰を。兄貴を?まさか。うっとおしいだけだ。いなくなったら。もし、いなくなったら――。
 そんな仮定を立てるのもバカバカしい。仮定は仮定だ。現実じゃない。
 兄貴の腕を振り払って背中を向けるとまた「達哉!」と名前を呼ばれる。ああ、うるさい。こんなヤツの弟じゃなかったら、あんたが兄貴じゃなかったら。兄貴がもっと口うるさくない人だったら。
 仮定なんて立てるな。現実に兄貴は口うるさい俺の兄貴だ。アイツ以外の兄貴なんて俺には存在しない。
 ――いつだって、どこだって、きっと俺は兄貴の弟なんだ。

 馬鹿馬鹿しい考えを振り払う。きっとって何だよ。俺らしくもない。
 俺らしい?それは何だ。
 なんだか頭の中がぐるぐるする。自分の体じゃないみたいだ。誰かが俺の中にいるのかもしれない。だから仮定を立てるな!


罰達哉