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ペルソナ2 周防兄弟SSまとめ

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確率




「周防辰之進?」
 聞き返した言葉が妙に浮ついて思えて僕はこほんと咳をした。
 天野君が大丈夫?と問うのに笑って誤魔化す。
「兄さん」
「ん?」
「だから、降魔」
「ああ、そうか」
 ポンと手を叩いて僕は頷いた。ああ、そうだ。僕に降魔すると言う話で周防辰之進が出たんだ。
「でも属性が達哉の方がいいんじゃないのか?」
「別に、兄弟だからあんまり関係ないだろ。それに、一応先祖らしいし」
「先祖と言われてもな……」
 実感がない。その言葉に達哉も頷いた。それは天野舞姫を降魔した天野君も同じらしくはにかんだ笑みを浮かべる。
「大体だ。達哉は向こう側から来たのは必然にしてもだ、先祖までは無関係だろう?『周防達哉』が『周防辰之進』の子孫として生まれてペルソナ能力を持って戦うなんてことは確率的に…」
「そんなことは関係ない。ヤツの仕組んだことだから、過去なんていくらでも模造される。ヤツにとって、全部遊びなんだ……模造したのではなく、ずっとヤツはそこにいて俺たち人間を見ていたのだろうけれど」
 俯いた達哉に僕は言葉を失う。確率なんて今は問題ではないのかもしれない。勝手に先祖を模造されるのは癪だがこの際使えるものは何だって使わせていただくとしよう。
「…だとしたらこんな遊びを仕組んだヤツを一発殴ってやらなきゃ僕の気が済まない」
「兄さん」
 顔を上げてほっと笑う。弟が笑ったのを見るのは久しぶりだ。
 周防辰之進を降魔する。これも、僕の人格なのだろうか。僕の先祖で僕の人格。僕を構成する何か。

 確率で言うならそれはどのくらいの奇跡なんだろうか。
 そして僕が達哉の兄として生まれて、あそこで天野君と出会い今こうしている僕は、僕の確率の何分の一なんだろう。


罰克哉