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ペルソナ2 周防兄弟SSまとめ

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財テク




 出た、と嫌な顔をして達哉がつぶやいたのに克哉は上を見た。
 確かに出た。外見のみを取るならば中々に可愛らしい容姿をしているそれを達哉は心底ウンザリと言った表情で目を背ける。
「Hi!御用はなあに?」
 妖精だと思われるそれはにこにこと笑って泉の上をふわふわと浮かんでいる。妖精なんだ。可愛いじゃないか。金さえ取らなければ。
 ぼんやりと考えながら見ている克哉と目が合ったのにトリッシュはにんまりと笑う。いつものパターン。
「お兄さんアイスはどう?甘くておいしいよ~」
「アイス……」
 つぶやく克哉の声にはっと達哉が顔を上げる。兄の目線は下のアイスが並ぶ棚に移っていた。
「兄さん!」
「だって、達哉」
「だってじゃない!アンタいい加減何度目だ!大体うちが今どんな状況かわかっているだろう!」
「そうは言っても改心して安くなってるし」
「安いって言っても世間の基準じゃどう見ても高い!アンタ普段あんなにケチなのにどうしてそう甘いものになると目がないんだ!大体兄さんは前から…」
 兄弟としての立場が完全に逆になり、普段小言を言う克哉が弟に叱られている光景に仲間は最初呆れ、次にケラケラと声を上げて笑いはじめたのに達哉が気付いて口を閉じるまで5分かかった。
「まぁ、いいじゃねえか達哉。なぁにその分コイツの装備を買うのを遅らせればいいだけだ」
「……好きにしたらいいだろう」
 ぷい、と達哉は目を逸らし壁際に座り込む。縋るような目で見る兄の視線は完全に無視した姿にパオフゥはやれやれと溜息を吐いた。

「やーっぱ足りないわねぇ…」
 サイフの中身を覗いていた舞耶の声に克哉が頭を下げる。
「すまない…僕の装備は後回しで」
「俺はいい」
 兄の言葉を遮るように達哉が言う。え?と克哉が顔を上げると達哉は渋面のまま舞耶に繰り返した。
「達哉」
「いちいち死なれると面倒なんだ。アンタ、弱いし」
「兄に向かって弱いとは何だ!」
「今度から舞耶姉の近くにいろ。ついでに守ってやる」
「だから、達哉!どうしてお前はそう僕を下に見てるんだ」
「アイスクリーム」
 文句を言おうとした兄を睨んで達哉はぼそりとつぶやく。その言葉に克哉は口を閉ざし、しばらく考えた後頭を垂れた。


罪達哉&罰克哉