ペルソナ2 周防兄弟SSまとめ
MILK
生ぬるい味が嫌いだった。
どれほどに冷えていても生ぬるく感じる味。喉に何か薄い膜が張ったような感覚が嫌いで嫌いで仕方が無かったけれど毎日毎日飲むしかなかった。
毎日飲んではもう少し、もう少しだと自分に言い聞かせた。
「大っきくなったなぁ達哉」
俺の頭をいい子いい子するように撫でて心底嬉しそうに笑うあんたが気に入らない。なんだよ年上だからって俺を子ども扱いするな。
腕を振り払うと「ゴメン」とすぐに謝って、俺の機嫌を伺おうとケーキをすぐに用意する。いつもの甘ったるい、あの生ぬるい味のするケーキを。
「んな甘ったるいもん食えるかよ」
「達哉」
縋るような目線を無視して俺は立ち去る。あんな甘ったるい、あんな生ぬるい味なんて食べれたもんじゃない。
「好き嫌いすると大きくなれないよ」
あんた俺をいくつだと思っているんだ。もう少しで追いつくのに。
大体それは好き嫌いの問題じゃない。
隣をすれ違う。まだもうちょっと足りない。
毎日飲むあの生ぬるい味が大嫌いだ。
あんたの作るケーキにも、存分に含まれているあの成分が。
罰兄弟
作品名:ペルソナ2 周防兄弟SSまとめ 作家名:なつ