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いただきたい

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 全速の努力虚しく、一度乾いたと思われる洗濯物はびしょびしょに濡れていた。
 何とか取り込んでもう一度洗濯機の中に押し込め、スイッチを押した。
 ついでに今まで着ていたジャージも放りこんだ。
 タオルで自分の体を拭きつつ、震えてた愛犬たちも滴を拭ってドライヤーで乾かした。
 洗濯機が止まったのを見計らって次は乾燥機にぶち込んだ。
 結構量あるから暫くほかっておいても大丈夫だろう。
 ここまでの確認が終わると俺はソファに倒れこんだ。その時。

 くーきゅるるるるるるる・・・・。

 腹が訴えていた。

 「・・・腹減った・・・。」

 このまま寝てしまいたのも山々だが、腹が減った。
 物凄く減った。めちゃくちゃ減った。
 何か適当に胃袋の中に入れないと腹の虫が反乱を起こしかねない。
 疲労を訴える体に鞭打ち、キッチンへと向かった。

 そういえばヴェストは何時ぐらいに帰ってくるんだろう?
 ・・・やっぱ夕飯待ってた方がいいよな?

 ガッツリ食べたいところだがヴェストとの楽しい晩飯の為
 少しつまむ程度にしておこう、と冷蔵庫を開けた。

 何も無かった。

 「・・・・おいっ!」

 誰もいないところにツッコミを入れたが当然反応がないので直ぐやめた。
 え?マジで?何もないんですけど。
 正しくは常備薬と少しの調味料がある。
 でも固形物ってか咀嚼できるものが何も無かった。
 ・・・今日買いだしに行く予定だったんだっけ。
 戸棚や地下収納を除いたが同じような結果が待っていた。

 ぐぎゅぅうううううううう・・・・。

 腹の虫がより一層切ない声を上げた。






 その後も俺の食料調達の努力は続いた。

 家に何もないのならば買いに行けばいい。
 いざ財布を持ち、玄関に向かったが傘が無かった。
 ・・・そうでした。
 こないだアーサーん所行った時もって行ってそのまま忘れてきたんだ。
 普段行きも帰りも雨降ってんのに、帰りは晴れてたから、つい。
 もう一本傘はあったんだが・・・。
 フランシスとアントーニョが遊びに来た時にバットの代わりにして壊してしまった。
 「いい歳して代用品で野球をするな!」とヴェストに怒られたっけ。
 後日「お詫びにお兄さんの傘を。」
 とフランシスが持ってきた傘はケバイ薔薇柄だった。その日のうちに即刻処分した。
 折り畳み傘も探したが無かった。恐らくヴェストの鞄の中だろう。

 車まで走れば・・・。
 と考えたが車はヴェストが呼び出しを喰らった際に乗って行ってるはずだ。
 ・・・なんかあほらしくなって来た。
 なにが悲しくて飯食うだけでこんなに必死にならにゃあかんのだ。
 もーいいや。まだ早いけど今日は寝る。一日ぐらい食わなくったってじっとしてりゃ/

 ピーッ ピーッ ピーッ ピーッ ピー・・・・・・

 その瞬間、乾燥機の終了のチャイムが鳴った。

 「タイミング良すぎるぜ・・・。」

 訳が分からないまま溢れそうになる涙を必死で押さえ、乾燥機へと向かった。






 「お・・・終わった・・・。」

 洗濯物多かったです。
 取り出して、畳んで、家中に仕舞った。
 いつもならこのくらい平気なのに今日はなんか力がはいらねぇ。
 動いちまったせいで余計腹も減ったしな。あーぁ、飯が歩いて来てくれりゃ・・・。
 そうだ、宅配だ!
 俺様としたことがすっかり忘れてた。
 久しぶりのデリバリーにテンション上がりまくりだぜ!
 野菜だのバランスだの塩分だの煩いヴェストがいないんだ。
 思いっきりジャンキーなもん食ってやる!

 バンッ!!

 暗っ!
 停電しました。
 どこかで雷落ちたのか・・・。
 携帯を取り出してみれば電波が乱れていて通信が出来ない。
 ならばパソコンを!と立ち上げようとしても電気がつかない。・・・停電してんだ。
 じゃぁタクシー呼んでやる!!!
 ・・・同じ理由で無理だった。


 携帯のライトを頼りに、昔使っていたランプを引っ張り出して火をつけた。
 ボゥ、と柔らかい灯がリビングを照らした。
 
 
作品名:いただきたい 作家名:akira