ささめゆき
久しぶりに銀時に逢いに行ってから毎日、桂は松陽の家に通った。
いつ訪れても家のなかは寒々としているので、桂が炭火を熾してやる。家に通う目的はそれだった。あの冷えきった家に銀時が一人でいるのかと思うと気になって仕方なくて、いつの間にか足は松陽の家を目指して進んでいた。
冬が終わるまでそれを続けることになるのかと漠然と考えていた。
しかし。
春が来るまえに終止符を打たねばならない事態が桂の身に発生した。
家のなかの冷たい空気が桂の身体に纏わりついてきて着物に隠されていない部位の肌を細かく刺した。
相変わらず銀時は火を熾そうとしない。自分のいる場所に温もりを求めようとしない。
最近では桂は銀時の食事の心配までしていた。
世話を焼きすぎていると感じる。
けれど、放っておけないのだ。
だが、それも今日までだ。
そう多少にがにがしい気分で思った。
いつものように、かつて松陽から学問を教わった八畳間へ行く。
そこではいつものように銀時が寝ていた。
「銀時」
呼びかけたが、やはりいつものように銀時はピクリとも動かない。
その銀時の様子を桂は立ったまま無言で眺める。
だが、すぐに銀時に近づいていき、その腹の横のあたりに腰を降ろす。