ささめゆき
慌てて身体を起こそうとした。
だが、銀時に押し戻される。
「銀時!」
押さえつけようとする銀時に対して必死で抗う。
「やめろッ」
男にやられるのは真っ平御免だ。
けれど制止しても銀時はやめようとしないので、桂はいっそう暴れる。
これが剣での立ち合いであれば五分五分だっただろうが、今はそうではなく素手での争いであり、力の差は歴然で、ついに桂は銀時に押さえこまれた。
桂は自分にのしかかっている銀時をキッと見据える。
まだ諦めてはいない。
少しでも銀時に隙ができれば、そこをすかさず突くつもりだ。
しばらく、お互い無言のまま睨み合う。
部屋の空気が息苦しいほど緊迫した。
ふいに、銀時が口を開いた。
「……小太郎」
低い声で名を呼んだ。
その名で呼ばれるのは初めてだった。
だから、驚いた。
心臓を鷲づかみにされたように感じた。
驚いてそのあと、桂の力が抜けた。押さえつけてくる銀時を押し返さない。
すると、銀時の手が動いた。その手は桂の着物の衿をつかみ、強引に押し開く。
露わになった肌を部屋の冷気がなでる。
そして、銀時の頭が降りてきて、唇が肌に押しあてられた。
その感触に桂は眉根を寄せたが、なにも言わず、ただ天井を眺める。
銀時は容赦なく着物を脱がせていき、桂の身体を下降していった。