ささめゆき
そう相づちを打った桂に銀時が手を伸ばす。
頬に銀時の手のひらが重ねられる。
「冷たいな」
「だから、メチャクチャ寒かったんだって」
「そんな薄着で出かけるからだろう。なにか羽織っていけばいいものを」
「めんどーなんだよ」
「貴様はいつも面倒で片づける。身体を壊しても知らぬからな」
銀時の手が桂の頬を滑って顎におり、やがて首と髪の間に入る。
そのとき。
玄関の戸を強く叩く音が聞こえてきた。
銀時の手が桂から離れる。
さらに、銀時の名を呼ぶ声か聞こえてきた。その声は続けて、この家に桂がいるのではないかと問うた。
桂の家の者だった。
四日まえに出かけたきり姿を消した桂を捜して、ようやくここまで辿り着いたのだろう。
時間がかかりすぎているような気もするが、もしかすると桂は体調を崩しているということに表向きはなっていて、そのため、ひそかに行方を追うしかなかったのかも知れない。
どのみち、遅かれ早かれだったのだ。
桂は玄関のほうに足を一歩踏み出す。
その直後、口を塞がれた。
塞いだのは、先程まで桂に触れていた銀時の堅く大きな手のひら。
思わずビクッと震えた桂を背中から銀時が抱き締める。
桂が身をよじって逃れようとすると、抱き締める強さが増した。仕方なく桂が抵抗をやめたあとも、銀時の力は強くなる一方だった。