ささめゆき
こいつは俺のものだ。
俺だけのものだ。
そんな想いが湧きあがってきて頭を支配した。
上半身を落としていき、顔に顔を近づけていく。
けれど、唇に触れるまえに押さえつけていた手がずれてしまったらしく、桂に押し戻された上すかさず平手打ちされた。
無理な体勢から放った平手打ちだったからだろう、たいして痛くなかった。だが、正気にもどるには充分な痛みだった。
「ふざけるな!」
呆然としている銀時に桂は言葉を鋭く投げつけた。
銀時を睨む桂の眼には強い意志が宿っている。
その強い意志を無理に曲げることはゆるされない。
銀時は桂を見おろし、その双眸をじっと見る。
そして。
「おまえ、俺のことどう思ってるんだ?」
そう問いかけた。
桂が驚いた表情になった。しかし、すぐにその表情は引き締まり、その眼はふたたび銀時を睨んだ。
「……では、おまえは俺のことをどう思っているんだ?」
質問を返された。
その質問に答えようとして銀時は言葉に詰まる。
自分は桂のことをどう思っているのだろうか。
わからない。
銀時が戸惑っていると、桂の眼差しが少し穏やかなものに変化した。