ささめゆき
桂は口を開く。
「自分がたずねられて答えられぬものを他人に聞くな」
その声は落ち着いていた。
やがて桂は銀時の下から抜けだし、自分の布団に向かう。
銀時はなにも言えなかった。
翌日、桂は何事もなかったかのような態度で銀時に接した。だから、銀時もそうした。
夜になって、部屋で二人きりになって、銀時が腕を伸ばすと桂はあらがわずに引き寄せられた。
唾液の混ざり合うようなくちづけをして、桂をゆっくり押し倒した。そして、着ているものを性急に脱がしていく。桂は色白だが、いつもは着物の下に隠れている部分はもっと白い。その白くなめらかな肌に唇を落とし、舌を這わせる。
桂がかすかに震えた。
雪のように白い肌が熱でうっすらと赤く染まる様を早く見たいと思う。
この一年で覚えた桂の感じる場所を一つ一つ刺激していくと、桂は頭を左右に揺らした。長い黒髪が布団の上で乱れている。半開きになった唇から声の混じった吐息が転がり落ちた。
ふと。
思った。
こいつは他の男にも同じことをさせているのではないかと。
瞬時に、ありえないと思った。
桂に限ってそれはありえない。
桂がその身に男を受け入れたのは銀時が初めてであることははっきりしていたし、それ以降もずっと一緒にいて頻繁に肌を重ねてきたので他の男が介入してくる余地はないはずだった。