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葎@ついったー
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die vier Jahreszeite 005

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ひとりごちると脳裏に「腹がへったぞ,このやろー!」と喚くロヴィーノの顔が浮かんだ。

「はよ,帰ってこんかなあ」

勝手な願いやってわかってる。
今いる場所がアイツにとっては本当の家で,一緒におるんが本当の家族や,てことも十分わかってる。
だからこれは俺の我侭や。
誰かに聞かせるつもりもない。
でも,思うくらいは自由やろ?

自分のよりもずっとずっと小さな手。
ぽかすか殴られてもちっとも痛ないし,それどころかまっすぐにぶつかって来られるんがなんや嬉しく思えてくる。
アイツが居れば,俺はひとりやない。

でもそんな勝手な願いで引っ張り回すんもどうかて,……てよりもしたらあかん,てのもわかってる。

わかってる。
わかってる。
わかってる。

けど。

「……どうしようもなく寂しいねん」

呟いたら実感が増した。
寒さまでもが急に増した気がして,身体をぎゅっと縮こめる。
とりあえずはケーキだけ家置いてまた外に出よう。
誰か捕まればよし。あかんかったら…そのときまた考えよう。

雪はどんどん勢いを増して,家に帰り着く頃には頭とか肩にうっすらつもるほどになっとった。
玄関先でぶんぶんと頭を振り,腰にぶら下げたキィ・チェーンから家の鍵を取り出してドアに差し込む。

誰もおらんてわかってても習慣になってしまった一言を「ただいまー」て口にしながらドアを開けると,どす,と下半身に衝撃が走った。

「……なん,え?ロヴィーノ?なんでおるん?」
「知るかばかー!」

云いながらぎゅうぎゅうしがみついてきたのは小さな俺の子分。
ロヴィーノ・ヴァルガス。
ランドセルがよー似合う小学校一年生。
一年違いで生まれた弟の身体が弱いため,両親はそれにかかりきり。
母親がうちのおかんの妹やって縁でずっとうちに預けられとる。
家に帰るのは一年のうち弟が外泊許可を取れたときのみ。
クリスマスを前になんとか今年も許可が降りて疲れた顔の叔母さんに連れられて帰っていったんが一昨日のこと。

「……フェリちゃん,また具合悪くなってもーたんか?」

小さな頭がこくん,と頷くのを見て,俺はどうしようもなく胸が痛んだ。
家族みんなで過ごせるクリスマスを楽しみにしてたんは,きっと小さな弟もその両親も一緒やろ。
せやのに神様は意地悪で,こうやって簡単にそれをぶち壊す。

でも,一番最低なんは,きっと俺や。