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葎@ついったー
葎@ついったー
novelistID. 838
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die vier Jahreszeite 005

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正直,今,どうしようもなく嬉しい。
こんな風に思うこと自体,最低やってのはよっくわかってる。
でも,どうしようもない。

伏せられたままの小さな頭を,そっと,そっと,やさしく撫でる。
小さな肩がひく,と震えるのを見て,胸の裡に広がる甘さを噛み締める。

「なー,ロヴィ?」

呼びかけてもロヴィーノは顔を上げようとしない。
俺はその頭をなでながら,膝を折るようにして屈み込んだ。

どれだけの間ここで一人で待っていたのか。
鼻の頭を赤くして,溢れそうになる涙をじっと堪えて。
じっと睨みつけてくる潤んだ目を見つめ返して,俺はなるべくやさしく見えるように笑った。

「あんな,ケーキ貰ってきてん。一緒に食べよ?」
「…ケーキ?」
「せや。店で買うやつよりも全然ウマいケーキや。家族でクリスマス祝えんくなったのは残念やけど,そんなら俺と祝お?」

ぎゅ,と引き結ばれた唇が,震えながら開く。

「しょーがねーな。どうしてもって云うなら,そうしてやる!」

ナマイキにもほどがある台詞。
せやけど俺はくっしゃくしゃに顔が笑うのをどうすることもできんかった。

「んじゃさっさと上がろうやー。飲み物なんにする?紅茶?カフェオレ?」

半時間後,すっかり暖房が効いて温まった部屋の中,はちみつと摩り下ろしたオレンジの皮を落としたミルクティと悪友お手製のケーキでもって二人きりのクリスマス・パーティが始まった。

「う,うまいぞこのやろー!」
「だーから云うたやろ?ってお前一人で食うなや!」
「おまえが食ってもいいって云ったんだろー!」
「せやけど,一口くらいくれたかてええやん」
「一口だぞ!」
「そんな心配すんならロヴィが食べさせてくれや」

テーブルに頬杖をついて,わざとらしく「あーん」と口を開けると,仏頂面のロヴィーノがケーキと,俺とを交互に見た。
それからフォークで一口分のケーキを切り分けると,椅子から立ち上がって俺の方へうんと手を伸ばす。
俺は思わず頬が緩むのを感じながら,前歯でフォークをがち,と噛んで,そのままひょい,と取り上げた。

「あー!フォーク返せこのやろー!」
「返す返す。その前に親分もロヴィにお返しや」

云いながら手を伸ばしてケーキを小さく切り分ける。
フォークに載せてそっと差し出すと,じーっと睨みつけていた目がぎゅっと瞑られてロヴィーノが口を開けた。