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好物=甘いもの2

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駅のホームで大荷物を担いだ帝人はぐったりとしていた。
抱えた荷物がギシリ、と肩に食い込む。
容赦なく照らす初夏の日差しに帝人の体力はみるみる奪われていった。

何もこんなに持たせなくてもいいのに…
帰省し、ことの次第を母に告げたとたん、気がつけばあれもこれもとかばんに野菜(ほか)を山盛り詰め込まれていた。実家からの食料の支援は正直とてもありがたいのだが、人一人が運べる量には限度があると思うのだ。


鍋の席で静雄が言っていた野菜の感想。
苦いとか辛いとか酸っぱいとか臭いとかていう表現は正直意外で、もちろん言われるまで気が付いていなかったし、気がついていなかったけれど、確かに自分もそう感じていたのだ。
都会の人には大変申し訳ないが、帝人も池袋に来て自分で家事をするようになって気がついたことがある。

野菜が美味しくない。

都内で新鮮な野菜を食べようと思えばそれなりのお値段がするものなのだ。
お店で出される料理はさすがに美味しく料理されているが、自分が料理したものは…。

・・・野菜に申し訳なくて、ちょっとコメントできない。

実際自分が安いものを選んでいるから、なのだから仕方がない。
それから調理方法を工夫したりしている。


と、いうことで
実家から持ってきた野菜なら美味しくいただけるんじゃないかと安直な考えでいたのだが。この重さには参った。

静雄さんへ『そちらに向かいます。…何時ごろ、お時間空いてますか?』っと。
ピッと送信ボタンを押す。

今日、戻る旨は伝えてあるのでボロアパートに帰宅する途中に渡す約束をしてある。
せっかくの鮮度が落ちてはもったいない。
スグに渡せないとこうして野菜たちの名誉挽回作戦も意味がないというものだ。
大丈夫、そこはぬかりない。

あと、野菜を美味しく食べられるように母親からちょっとだけ料理も教わってきた。
竜ヶ峰家の味付けだけれども、もし静雄さんも知らないようだったらレシピをあげてもいい。

あ、返信きた。

池袋駅で待ち合わせか。


作品名:好物=甘いもの2 作家名:しば