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ケンカップルとサンドウィッチ!

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「みーかーどーくーん!! 俺の存在忘れないでよね!」
 ほんわかと和み始めた雰囲気に、一石というか、一岩を投じたのは、それまで放置プレイをかまされていた臨也だった。
 臨也は、静雄の真正面、つまり帝人の背中側に立って、帝人の両肩にポンと両手を置いた。
 前に静雄(しかも頭には静雄の手)、後ろに臨也(しかも肩には臨也の手)。帝人がその場から逃げることは不可能だ。
 確かに帝人は、常日頃、「非日常」というものを強く希求している。しかし、自分がその非日常の権化のような2人の間に立ちたいかといわれれば、「だが、断る!」と大声で言いたい。何事も、命あってこその物種なのだ。
 瞬間湯沸し器以上に沸騰しやすい静雄のことだ、どうなるか分かったものではない。トマト、グシャーッが一気に現実味を増す。
 帝人はキリスト教信者でもないのに、心の中で十字をきった。こんなことなら、自分の家が何の宗派でどんな念仏を唱えるのか覚えておけばよかった! と心底思うが、後悔、先に立たず。
「し、静雄さん! 落ち着いてくださいね!」
 戦々恐々しながら、帝人は頭の上にある静雄の手にそっと触れた。
 そして、ゆうに20cm以上はある身長差のため、思いっきり見上げる形になりながら、泣きそうな目で必死に静雄を宥めるための言葉を口にした。
 そんな帝人の行動は、静雄に効果覿面だった。
 静雄の手よりも遥かに小さなそれ。そして潤んだ瞳。「静雄さん」と自分の名前を何度も呼ぶ声。小さな唇。
 小さいものは可愛い。可愛いは良いものだ。良いものは守らねば。
 庇護欲をそそられたらしい静雄は、安心させるようにワシャワシャと帝人の髪を撫でた。それが、帝人の寿命を確実に縮めているのだということに、幸か不幸か気付きもせずに。
 そんな帝人と静雄の様子を見咎めたらしい臨也が、帝人の肩をガクガク揺さぶった。
「もー、帝人君ってば、シズちゃんばっかり構ってると、俺スネちゃうよ?」
 勝手に拗ねてろ。ついでに消えてくれ。その場にいた殆どの人間が心の中で突っ込んだ。
「いや、拗ねていいんで、本当に帰ってください」
 帝人が代表して突っ込む。
「い・や☆」
「ぶっ殺す」
「し、しし静雄さん、落ち着いて! 力を込めないでくださいね!!」
「あ、それで帝人君、さっきの話の続きなんだけどさー、俺とシズちゃんが結局何って言おうとしてたの?」
「え・・・・・・?」
 静雄を宥めることに必死だった帝人の脳内がフリーズした。
「あぁ? 俺がどうかしたのか?」
 静雄の問いに、帝人は引き攣った愛想笑いを返しておく。
 どうして、今それを聞くんだ! と帝人は胸中で臨也を呪った。
 何と答えればいいのだろう、と帝人は真剣に悩む。先ほどと違い、言葉如何では帝人の命が危うい。
 試しに、手を退けてもらえば逃げられるのではと思い、
「あの、お2人とも、手を退けてもらえませんか?」と言ったところ、
「シズちゃんが先に離すなら良いよ?」「ノミ蟲が離すのが先だ」という言葉が同時に返って来た。ビリビリとした殺気が帝人の肌を粟立たせる。
 もう、無理だ・・・・・・。帝人は、諦めた。
 頭上での殺伐としたやりとり。ピリピリとして胃が痛くなるような緊張感。蛇の生殺し状態にもう耐えられない。限界だった。心境としては、再び遊馬崎達の会話から言葉を借りるなら『もう、ゴールしても良いよね?』だ。帝人には死ぬつもりがないというのに、何と不吉な名セリフを会話に引用するのだろう。
「あ、あの! 話しますけど、ぜ、絶対に、怒らないって約束してくれますか・・・・・・?」
 帝人は、最後の悪あがきに出た。
「えー。そんなの、聞いてみなきゃ、分からな――」
「約束、して、くれます、よね!?」
 臨也の言葉に被せて言うと、帝人の血走った目をモロに見た静雄が、その眼光から感じた鬼気迫るものに少し驚きながら「お、おう。努力する」と言った。臨也も「仕方ないねぇ。他でもない、帝人君の頼みだし」と肩を竦める。
 帝人は、「言質は取りましたよ」と言い、溜息1つ。――最悪、誰か骨くらい拾ってくれるだろう。
 もしかしたら、これで最期になるかもしれないと思い、正臣や杏里たちがいる方をチラリと見た。
 心配そうな杏里や門田たちの表情、そして正臣――――――がいない。
 はてな、と思い、帝人は辺りに視線をやった。いない。もしかしたら、親友の最期を見るのは忍びないと思ったのだろうか・・・・・・。
「みーかど君?」
「は、はい!?」
 長い沈黙を不信に思ったらしい臨也に呼ばれて、ビクッと肩を跳ねさせる。
 ええい! もう、なるようになれ! と帝人は息を吸った。
 そして――。
「実は――――」