GUNSLINGER BOYⅡ
臨也が公社に来た頃、既に父の森厳と同じく作戦2課の技術部に配属されていた新羅の元には瀕死の少年が運び込まれていた。
歳は12才。
自宅にいた所を3人組の強盗に押し入られ、殺された両親の隣で一晩中暴行を受けたという彼は脊髄を傷つけられ、首から下の自由を一切失っていた。
骨折した両手首にはくっきりと縛られた痕。体の大事な部分にも無数の傷。
しかし意識だけはしっかりしていて、脳の異常が無いことが求められる義体には理想的な素体だった。
本人は自殺を望んでいたが・・彼の親戚が素体を求めて病院を調べまわっていた公社のエージェントに報酬と引き換えに彼を引き渡したのだ。
(いっそ・・意識も理性も失ってしまえた方が楽だったろうにね)
義体化をするため手術台に乗せられた少年の短い髪を撫でると、少年の唇がわずかに動いた。
こ ろ し て く だ さ い
声は出なかったが確かにそう言ったように、新羅には見えた。
「ごめんねぇ・・・殺してはあげられないんだよ」
理解しているのかしていないのか、焦点の定まらない青い瞳から涙が一筋伝った。
それが新羅にとっての初めての義体化手術だった。
作品名:GUNSLINGER BOYⅡ 作家名:net