二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
cou@ついった
cou@ついった
novelistID. 13083
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

【DRRR】はろー*はろー*はろうぃん 【帝人総受け】

INDEX|6ページ/9ページ|

次のページ前のページ
 


やがて、学生集団の後ろに追いつく。
近くでみれば、黒い服を縫い合わせただけのライダースーツはお粗末なものだ。その簡易な感じが、余計に学生らしくてイイ気もする。
ここまで来るとさすがにトムにも静雄も目的地が見えた。
小さな黒髪の背中が黒いベストを着ているというところまでしか判らず、本当に静雄のコスなのかは不明だ。もっと長身、金髪にサングラスでそっくりな仮装をしているヤツなら先ほどからチラチラと見かけている。
なぜ静雄がその姿に執着するのかと首を傾げ、隣の青ハッピを見てからピンとくる。
その偽サイモンは、静雄が大事にしている子といつも一緒に遊んでいる友人だった。

学生連中の間に押し入った静雄は明らかな異物であり、わずかな間、気まずい歓迎されていない無言の雰囲気に包まれた。招かれざる金髪長身の吸血鬼の登場に、中には黄色い声を上げて写真を撮るものもいたにはいたが。
やがて、その正体に気付いた少年の1人が叫んだ。

「ちょ、……ホンモノの平和島静雄だっ!!」

その一言を中心に、ザッと円形になるように人が引いてスペースが開く。
その円の中で静雄の目線の先に取り残されたのは、2人。
偽サイモンと、偽静雄。

完全に固まった小さな黒髪の背中に、静雄が声をかける。

「…おい…」

低く落ち着いた声。
どうやら静雄は、仮装されたことにイラついて追いかけてきたのではなく、最初から相手が帝人であることに気が付いて、追いかけてきたようだ。
声をかけられた肩がビクリと大きく揺れる。

「よう、帝人」

静雄が更に声をかける。
と、途端に弾かれたように帝人は前でバタバタと手を動かし始めた。
脱ぐ気だ、ということを察した静雄は、肩を掴んで強引に体をひっくり返し、向かい合う姿勢をとる。

「……う、…し、静雄さんんんん……」

見られた。
と、明らかに絶望的な表情を浮かべた少年が、固まったままの状態で静雄の前に現れた。
その手は蝶ネクタイを外そうと引っ張っており、青い色のサングラスは少しズレた状態になっている。
やや彼には大きいような黒の2ボタンのベストと、黒いズボン。
金髪でないことを除いて、完全に平和島静雄スタイルだった。
帝人が泣きそうな表情でサングラスの下から大きな黒目を覗かせる。慌てて胸の前で両手を振った。

「す、すみません静雄さん!僕、別に静雄さんのことハロウィンのモンスターとかそういうものと同じように扱っているというわけじゃなくてですね!ええとコレは、その、学校の行事の一環で、その」

テンパる帝人の様子を頭からつま先まで遠慮なく見つめた静雄は、ついサングラスを外そうとして、そこに何もなくて手持ちぶたさな手で髪をまたかきあげた。
その様子を見た帝人が、ピタリと止まる。

「……トムさん……」
「うーん?何だぁ?」

後ろに付いて来ていたトムに向かって、目線を外すことなく静雄が話しかける。
2人の男にジロジロと見つめられ、帝人は居心地悪そうに更に小さくなった。

「…こう、ちっちぇーもんが俺と同じようなカッコしてんのって、何つーか、その…」
「萌える、か?」
「……も、?いや、えー、何つーかー」
「可愛いし何かイイ!!ですよね!?そうですよね!?」
「ちょ、正臣勝手に入ってこないでよ!」

突然、帝人の友人でサイモンに扮した少年が茶々を入れてくるが、その意見には同意できたので、静雄はとりあえず頷いた。
焦った表情の帝人がさらに全身を跳び上がらせて驚く。

「うん、何かイイ、だな」
「ちょちょちょ、ちょっと静雄さん!そこ頷いちゃ駄目なところです!……というか、静雄さんの方がいつもと雰囲気が違いすぎて、その、……駄目です…」

チラリと静雄を見上げた帝人が声と視線を下に落とした。
普段褒められなれていない少年が、まさに本人を目の前にしてイイと言われたのだから照れるのも仕方はない。
そこに拍車をかけるように、ヴァンパイアに扮した静雄は、お世辞じゃなくカッコ良かった。
実際、ここに来るまでに、静雄と気付かず逆ナンパを仕掛けてくる女性に何人も出くわしたのだ。
スラリとした長身は長いマントを上手く翻しながら歩いており、ただでさえ整った顔が、サングラスも前髪も取り払われ、惜しげもなく晒されている。普段は蝶ネクタイをしているくせに、今日は少し下まで開けられたボタンに胸元がチラリと見えた。金色の後れ毛の垂れるオールバックにされた前髪は、爽やかでいながらも、妖艶な雰囲気をかもし出していた。どこかしら日本人離れした様相は、どこかの映画俳優と言われても頷ける。
帝人はそんな人物が自分を見つめ、髪を掻きあげる姿を見た瞬間から、すでに何かを諦めていた。
この人、いろんな意味で駄目だ、と。

「ダメだあ?何言ってんだお前」
「いや、だからその、恥ずかしいんです!そんなに見ないで下さい。本人の前で本人のコスとか、非常識すぎますし、ホントもうお願いです、許して下さい……」
「……トムさん…」
「…ん?何だ?」
「コレ、お持ち帰りでいいですか?」

コレ、とファーストフードのカウンターで言われるようなお手軽さで指差されたのは、完全に帝人の旋毛のあたりだった。