【DRRR】はろー*はろー*はろうぃん 【帝人総受け】
「ほんとにね!君がその格好しているってだけで吐き気がするよ、さっさとそんな悪趣味な服装止めたら?バーテンダーでもないのにバーテン服って」
「……ってんめぇぇぇえのせいじゃねぇえええかぁあああ!!!!」
再びキレ始める静雄を他所に、帝人はふいっと顔を背ける。
「もう脱ぎますよ」
ビクリと肩が揺れる。
静雄は振り上げた拳を収め、その手を帝人に向けた。
「…別にいいじゃねぇか、そのままで。今日はハロウィンなんだろーが」
「し、静雄さん?」
「それとも、俺の普段の格好はそんなに変だったか?」
「いえ、そういう問題ではなくてですね、いや少なくともソコの臨也さんより、よほど素敵ですし」
「じゃあいいだろ」
「いやいや、だからOKと言うことでもなくてですね…」
困惑する帝人の頭をぐしゃぐしゃと撫でる静雄に、臨也が食って掛かる。
「ちょっと、今俺が帝人くんのしゃべってるのに、間から入って来ないでよ!!シズちゃんのくせに!!」
「てんめぇが、最初に間割って来たんだろうが、こんのクソ、ミノ虫ぃぃいい!っつか、池袋に来てんじゃねー!!」
帝人の目の前で再び戦争が始まりそうだ。
完全に呆れかえる帝人に対して、正臣がジャスチャーでサンシャインの方を指差した。
中にこっそり避難しようと言うことらしい。
本格的にいがみ合い始めた2人を振り返り、その相手をすることを諦めた帝人はそのジャスチャーに頷いた。
そろり、そろりと後ずさる。
と、その肩を誰かにつかまれた。
「ちょい待ち。見捨てないでくれよ、帝人くーん。あの服汚したら会社で半殺しに合うのは俺なんだわーー」
「ト、トムさん!?」
予想外の人に引き止められ帝人は振り払うことが出来ずに止まってしまう。トムに恨みはないし、たまに静雄と一緒にご飯を奢ってもらうなどの借りもある。
迷った帝人に、2つの声が降って来た。
「何、帰ろうとしてんのさ帝人くん」
「どこ行くんだ、帝人」
いっそずっと自分の係わり合いのないところで喧嘩してくれてたら良かったのに!そう思った帝人が振り返れば、堕天使と吸血鬼がニヤリと笑いながらこちらを向いていた。
どちらも無駄にイケメン。
ヤギ角をてらりと光らせながら手を伸ばしてくる堕天使の魔の手が帝人に触れる前に、吸血鬼の長い腕が帝人の脇に差し込まれる。
「うわぁぁあ!?」
「地獄に堕とされる前に行くか」
「ちょっ、静雄さんんん!?」
マントがわずかに翻ったかと思えば、帝人の体がふわりと浮いて急激な上昇感に悲鳴を上げているうちに、ストンとどこかにお尻がつく。不安定でバランスの悪い状態にどこかに掴まれば、そこが妙に高い位置であることに気が付いた。
まるで2階から下を覗くような景色。
自分が掴んだ金髪の押さえつけられている頭。
「ちょ、えええええええ!?」
「シズちゃん何やってんの!!帝人くんを解放してよ!!」
臨也が下から手を伸ばそうとして、帝人の座るものがわずかに揺れ、臨也に向けて蹴りと放つ。
……。
何で、僕、静雄さんの肩に乗せられてるんだろう……。
「おい、しっかりしろ帝人!!」
「ま、正臣ぃ」
下から聞こえる幼馴染の声に泣きそうな声が漏れた。
静雄の仮装で静雄と一緒にいることも恥ずかしいのに、こんな状態で周囲からの視線が痛い。なまじ上の方に飛び出したから完全に周囲の視線に晒される位置で、写メまで撮られている気配もするし、恥ずかしい。だいたいいくら自販機を持ち上げてしまう人だとはいえ、軽々と持ち上げられて肩に座らせられるなんて、まるで幼い子供にするような扱い。自分の体型その他諸々を考えてもう耐えられない。
「ししし、静雄さん!!お願いしますから、降ろして下さい!恥ずかしくて死にそうです!!」
「照れる帝人くん超可愛い!」
「臨也さんはお願いしますから死んで下さい!」
「何その扱いの違い!?」
作品名:【DRRR】はろー*はろー*はろうぃん 【帝人総受け】 作家名:cou@ついった