臨帝短文集
『 昔の話をしようったって無理があるような過去もある 』
汚点のない過去を持つ人間などいない。これをこうすればよかった、あれをしなければよかった。そんな仮定に価値はない。そもそも過去のいつの時点を降り返ってみても自分は常に自分らしく行動していた。きっともう一度人生を最初からやり直したとしても全く同じようになるのではないだろうか。
(いや、もしもやりなおすことができるとしたら)
一瞬に頭をよぎりそうになる仮定に首を振る。過去を否定したところでなんの意味も無い。全ては自分が自分の意志で(それも大概はひたすらに楽しんで!)行ったことだ。
後悔してるんじゃないかなんて、自問したら終わりだ。仮令誰を傷つけたのだとしても。過去は覆らない。生まれた雛は卵に返らない。河の流れは遡らない。後ろ暗い思いを一度もしたことのない人間はいない。これは自己弁護ではない。問題はこれから何をするかだ。