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妖鬼譚

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「……お前からそんな言葉が出るなんて、益々珍しい事もあるたい」
「白石からのお使いっちゃ」
「白石か。繃帯の換えはこの前渡したばかり、だよな」

と、橘は脇に摘んであった古びた帳面を開いて、白石に自分が創ってやった繃帯を渡した日を確認する。

「白石が欲しいのはそんな単純なモノじゃなかと」
「それで何を探してるとや?」
「――『鬼殺石』」
「……また珍しい物を探してるんだな、白石は。俺だってそれは聞いた事位しかなかと」
「でも、桔平なら探せるち、白石も俺も思っとるとよ」

と言って、千歳は机の上に大粒の輝石を幾つか乗せてみせた。それらは、部屋の電灯の明かりを受けてキラキラ輝きを放つ。

「ほぉ……」

と、橘は転がった石の一つを手に取ると、その石――金剛石が随分と質が良い物である事に気付き、感心した様な声を上げる。

「また、随分と奮発するな」
「今回の依頼が幾ら桔平でも無茶なんは白石も十二分に分かっとると」

だから、その分は余分に払うという意思表示たい、と千歳は肩を竦めてみせた。

このうらびれた倉庫の様な部屋で、橘は人外問わず金さえ払えばあらゆる呪具の作成、又は過去に封印された禁術や呪具に関する噂や情報、現物を入手してみせるという、呪術専門の万屋を営んでいた。
その物探しに優れた手腕を見越して、白石は橘に今回の鬼殺石の捜索を依頼したのである。

「……その鬼殺石は、忍足謙也を殺した時に使われた物でよか?」
「流石桔平、よう分かっとるとね」
「あれは、少しは俺も関わった事たい。それに何処にあるかは検討は付いてるとよ」
「本当と?」
「まあ、多少入手は面倒だが、これだけ払って貰ったなら見返りとしては十分ばい」

と、言って薄く笑みを浮かべた橘は、掌の上で転がしていた一番小さな金剛石を自分の懐に仕舞うと、残りを千歳の手に戻してしまう。

「桔平、それだけでいいとね?」
「俺は、親友から毟り取る気はなか。それに白石には借りがあるけん、これでも貰い過ぎたい」
「桔平……」
「手に入れたらまたすぐに連絡するけん」
「吉報を期待しとうと」
「そうだ、後、白石に一つ伝えてくれ」

と、橘は目的を果たした事で機嫌良くこの場を去ろうとする千歳を呼び止めるように声を掛ける。

「あくまで俺の予想だが、忍足謙也を復活させる為には、現世の血の軛の破壊が必要たい、と」
「……了解したばい」

肩越しに振り返った千歳は、瞳を細めて橘の言葉に了承の意を示すと、改めて足取りも軽くこの場を立ち去ったのだった。
作品名:妖鬼譚 作家名:まさき