アイツとダンスを
仮面舞踏会当日…友達に借りた『ファントム』とやらの仮装を着て出かけた。
会場は…そこまで広くはないが想像以上に豪華で…思わず、「俺が起源」と言うのを忘れてしまったくらいだ。
そんな会場で探すのは…悔しいけどやっぱりアイツで…。
しかし、今日はみんな仮装をし、仮面の着用が必須になっている。
だから、遠くからでは誰が誰かなんてわからなかった。
言ってしまえば、ここに来ているかだってわからない。
ふっ…っとため息のように息を吐き出すと、横に居た友達に笑われた。
少し、イラっとして彼のほうを見ると…「せっかくだし誰かと踊ってくれば?」
「こんな場所だし、君が誰かなんて…相手が誰かなんてわからないよ。」とも…。
俺は辺りを見回し、適当に話しかけた。
そいつは長い黒髪でドレスを着ていた。
「一緒に踊るんだぜ!」
返事を聞く前に…手を引いて…ダンスホールへと連れ出した。