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GUNSLINGER BOYⅢ

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臨也さんが正式に僕の担当官になって1ヶ月。
一緒に暮らし始めて数日。
初めて一緒に過ごす休日・・・・臨也さんは僕を街へ連れ出した。

「服、買いに行こう」

そう言って。



担当官の事情や希望に沿って、義体たちは公社の寮で集団生活をしたり担当官と一緒に暮らしたりと色々だ。
臨也さんは公社の敷地内の寮に住んでいて、僕もそこで一緒に暮らすことになった。
ここ一ヶ月で折原臨也という人について分かったことはよく分らない人であるということだ。
だらしないのかしっかりしてるのか、真面目なのか不真面目なのか、
神経質なのか大雑把なのか、優しいのか厳しいのか、
すごく格好いい大人の男性なのに妙な所で子供っぽかったり、
他の職員の人たちからの評価も真っ二つに割れている。
そして僕に対しては・・・すごく、優しい、けれど・・

「臨也さん。着替え、終わりました」
「どれどれ見せて・・うん、コレもいいねえ」

さっきから嬉々として僕を着せ替えている意図も分らない。
でも臨也さんの楽しそうな顔を見られるのが嬉しくて文句も言い出せない。
臨也さんはさっき着ていた服を無造作に買い物籠に入れようとした。慌てて止めに入る。
籠には既に何枚も入っているのだ。

「あの、そんなに買っていただかなくても・・一応、僕ら用の服は公社にもありますし」
「あんなだっさい服、いつまでも着させられるわけないじゃん」
「それにこのお店、結構高級そうなんですが・・」
「デザインもいいし生地もしっかりしてるでしょ?」
「いえ、そうじゃなくて、」
「値段なら気にしなくていいよ。公社から出ないから実費だけど、俺学生のころ色々やってさ、かなり稼いだんだよね。
それとも何?俺に買ってもらえるの嬉しくないの?」
「う・・・・・」

赤い瞳で見つめられればズクンと本能的な部分が疼く。

「嬉しい・・・・です。」
「だよねえ。俺は君の担当官だもんね。義体は〈そういう風〉にできてるんだろ?」
「・・そういう、試すようなこと、言わないで下さい・・・」

正式に担当官になった後、臨也さんは言った。
これは実験なんだと。
人間じゃない君のことを愛せるかどうかの。

大嫌いな化け物がいてね。実を言うと人外は嫌いなんだ。
でも君にはどうだか分らないから・・精々、俺に愛されてみせてよ。

そう言った時と同じ、酷薄な笑み。
こんな表情すら好きだと思うこの気持ちが本物なのかどうか、僕には分らない。

「臨也さんのこと好きです。どこまでが条件付けの影響なのか分かりませんが。
 少なくともその顔は綺麗だと思いますよ」
「よく言われる」
「性格はなんか残念な気がしますけど。ご友人も少なそうですし」
「え?」
「あと、言わせてもらいますと、僕の服選ぶよりも先にご自分の服装をどうにかした方がいいと思います。せっかく格好いいのになんでいつもその服装なんですか?」
「・・・帝人君て、案外ずばずば言うよね。何?他の義体もそんなもんなの?」
「さあ・・・まだあんまり条件付けされてないからじゃないでしょうか。
 でも・・性格が残念でも服装がいつも一緒で友達いなくても、僕は臨也さんのこと大好きですよ」

そう言うと臨也さんは一瞬呆けたような表情になった。
この人でもこんな顔するんだ。

「臨也さん・・?」
「・・服、それも買うから着替えないでそのままレジに来て。」
「元々着てたのは?」
「ああ、店の人に言って捨ててもらって」
「はい」






高級店の立ち並ぶ華やかな通り。
通り過ぎる人達が臨也さんに好意的な眼差しを送っている。
さっきはいらないといったけれど、確かにそれまで着ていた公社から配給された服ではこういう所を歩くのはちょっと恥ずかしいかもしれない。 
見る物全てが新鮮で、きょろきょろと視線を彷徨わせていると前方を歩く臨也さんが僕の手をとった。

「あんまりよそ見してると迷子になるよ。他に欲しい物とか食べたい物とかある?」
「・・まず、何があるのか分かりません」
「はは。だよねー」
「でも・・・・」
「ん?」
「僕は、臨也さんにこうやって街を連れ回してもらえるだけで幸せです」
「・・・・・条件付けって、ホントすごいね」
「だからすぐそういうこと言わないで下さい」




作品名:GUNSLINGER BOYⅢ 作家名:net