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GUNSLINGER BOYⅣ

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久々に会った折原臨也はなぜかずいぶんと余裕が無いように、門田には見えた。


電話に出るために小屋を出て行った臨也に置いていかれた少年はまるで捨てられた子犬のようで、見ていられなかった。
白いブラウスを着た肩はひどく華奢で、それまで近くで義体を見たことがなかった門田にはとてもこんな子供が銃を抱えて戦う姿など想像できなかった。

門田は元々、義体という存在についてどちらかというと否定的だ。
年端もいかない子供の体を改造して汚れた仕事をさせるなど、どう考えても倫理的に問題があるし悪趣味だ。
身体的に致命的な障害があったり瀕死状態でそのままじゃ助からない命だとしても、
だからといって無理に記憶を改竄して人殺しをさせるなんて、むごすぎる。

しかし今、目の前にいる少年は勝手にイメージしていた義体像とはずいぶんかけはなれていた。
もっと、こう、表情も何もない人形みたいなのを想像していた。

「あの・・・」
「ん?」
「ドタチンさんは、臨也さんのお友達なんですか?」
「・・すまん、ドタチンじゃなくて門田と呼んでくれ」
「ドタチンが名前で門田さんというのが苗字ですか」

思わずコケかけた。
その発想は無かった。どっかの芸人か。

「いやいや、違う」
「・・・・??」

門田は苦笑して、頭に?マークを浮かべて首を傾げる少年の頭をくしゃりと撫でた。
少年趣味は無いが、小動物みたいで可愛い。

「臨也の奴とは学生時代に知り合ってな・・ま、腐れ縁みたいなもんだ」
「そうなんですか・・・・羨ましい、です」
「何が?」
「僕が知らない臨也さんのこと、知ってて」

大きな青い瞳が羨望をこめて門田を見つめる。
そしてやはりどこか寂しげだった。

「お前、名前は?」
「ミカドです。帝国の帝に人って書きます」
「へ・・へえ。すげえ名前だな」
「臨也さんからもらったんです」

そう嬉しそうに言う少年を前にして言えないが、〈臨也〉という名前に負けず劣らずのネーミングセンスだ。
いや、良いとか悪いとかではなく。
義体の前では担当官のことを悪く言ってはいけないというのは基礎知識として知っていたので、門田は慎重に言葉を選んで聞いてみた。

「あのよ、その・・大変じゃ、ないか?あいつといるのって」
「変人だし、自己中だし、気分屋だし、悪趣味だし・・ですか?」

驚いて絶句するが、少年は相変わらず穏やかに笑うばかり。

「でも、そういうところ全部ひっくるめて、あの人のこと好きなんです。
 臨也さんが僕のこと嫌いになっても・・そばにいられれば、それでいいんです」




作品名:GUNSLINGER BOYⅣ 作家名:net