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Lion Heart

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「『オレは、オレの正義でイギリスと向かい合って行くよ。』そう決めたからね。」
 アメリカは、あの時と同じ言葉をカナダに伝えた。
「なら、アメリカ。君は、そんな顔をしちゃダメだ。」
 カナダの反応は、フランスと同じ事を言われるのではないかと思っていたアメリカにとって以外だった。
「僕は、フランスさんともイギリスさんとも生活する中で僕なりの考えでイギリスさんと居る事を決めた。」
 カナダは、アメリカに自分の考えを話し始めた。
「君は、僕と違って成長も早い。だけど、比べることなく守ってくれたイギリスさんの手をここで離す事は出来ない。」
「カナダ・・・。」
 続く言葉をアメリカは、声に出すのを躊躇った。
「幸い、フランスさんは僕に対しての警戒は、君より低いしね。」
「どういう事だい・・・?」
 カナダはイギリスと生活する以前、フランスと生活を共にしていた。
 その為か彼の中では、フランスとイギリス両方から受けた影響が半々に存在していた。
「僕は、君がフランスさんの援助を得て自由を掴もうとしていた時に、僕は僕に出来る何かを探していたんだ。」
 そう言うと、カナダの温厚な目の奥に妖しい光が見えた。
「カナダ・・・?」
「それでね、やっと見つけたんだ。僕に出来る事。アメリカには出来ない事。それが何かは教えてやらいけど。」
 カナダは微笑みながらアメリカにそう言うと、おもむろに席を立った。
「君が、自分の正義を貫く事で得た代償が何かを僕が教えてあげるよ。」
 そして、さも愉快そうに狂気の笑みを浮かべながらアメリカに顔を寄せ囁いた。
「だから君は、そんな辛そうな顔をしちゃダメだ。
悲劇のヒロイン、いやヒーローじゃダメなんだよ。だって、そうじゃないと可笑しいだろ?」
そこには、もうアメリカの知る温厚で内向的なカナダの姿は何処へも無かった。
「カナダ、君は一体・・・。」
 アメリカは、カナダの顔を見つめながら彼の心理を掴もうとしたがその衝撃に硬直した。
 道化の様に狂気の笑顔から表情は一変し、カナダは鋭い眼差しでアメリカを見据えると静かに告げた。
「君がしてきた事で壊れた物の価値を、君は知るべきだ。」
 
作品名:Lion Heart 作家名:815