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墓参り

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「さっきも言ったけれど、お久しぶりね、マスター。そっちはどんな感じかしら。あたしには良くわからないけれど、マスターが幸せに暮らせていることを願うばかりね」
 木々を揺らす風が吹き、メイコとミクの髪を優しく撫でる。メイコは髪が暴れないように片手で抑え、尚も言葉を続けた。
「最近、とても暇なの。あたしがマスターの居るところへ遊びに行けたら、なんてよく考えるわ。行動にはうつさないけどね」
 茶化すような声音だった。だが、その裏に隠された感情を想うと、ミクは胸の奥に締め付けられるような痛みを覚えた。ワタシも行きたい。小さな声で囁こうとするが、きっと吐き出す言葉は悲しみに濡れたものになりそうだったから、彼女は首を振って言葉を喉の奥へと引っ込めた。
 メイコが、マスターへ手を伸ばす。触れそうになった瞬間、メイコは酷く顔をゆがめて手を下ろした。顔を俯かせ、すぐに上げる。唇に笑みが乗っていた。
「ねえ、マスター。幸せに暮らしているわよね──幸せじゃなかったら、ぼっこぼこにしてあげるんだから」
「そ、それはめーちゃん、理不尽……」

 優しげな声音で呟かれた物騒な言葉を聞き、何処かからか戻ってきたカイトが頬を引きつらせる。メイコは声のする方へと振り向き、こわくてきな笑みを浮かべた。
「あら、でもこれくらい言わないと」
「それにしたって、もうちょっと言い方ってものがあるよ。ぼっこぼこって、マスター驚くよ?」
「何よ。文句があるの?」
 メイコが胸の前で腕を組み、軽く鼻を鳴らした。カイトはそれに苦笑を零しながら、マスターへと近寄る。片手にはバケツ。中には大量の水と、ひしゃくが入っていた。レンも同様に同じバケツを手に持って近寄ってくる。リンが最後に、何かを含んだような笑みを浮かべながら近寄ってきた。

 カイトがそっと指先でマスターを辿る。それから軽く首を傾げ、
「恐いですよね、めーちゃんって……。マスター、めーちゃんの暴力には磨きがかかりましたよ」
「何よ。暴力なんてふるってないじゃない! マスターに変なこと、言わないでちょうだい!」
「それに最近は俺のアイスを制限するんです……。酷いですよねえ、なんとか言ってあげて下さい、めーちゃんに」
作品名:墓参り 作家名:卯月央