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【DRRR】月夜の晩にⅠ【パラレル臨帝】

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「っくはははは!!」

回想を終了して、臨也はそっと寝室を出ると、必死に堪えていた笑いを噴出した。
彼の安眠を邪魔しない程度に、小さな声で。

「はあ、はあ。……ほんっと、楽しませてくれるなあ」

ドロリとした疲労が自分の体を包み込んでいる。
それでも、心の中はどうしたって湧き立って、ずっと愛を叫びたくてうずうずとしていた。
自分にあんなことを言ってのける存在は初めてだった。それを言ったのが彼以外の誰かであったら、その瞬間に自分は相手を精神的にしろ、身体的にしろ、手ひどく傷つけただろう。何しろ、自分は全ての一瞬一瞬をこんなにも有意義に自分を中心に面白おかしく生きようとしているのだ。
それを否定された。
自分の生き様を否定された。
死んだ目だって?俺が?誰よりも生に固執して様々な保険を用意している俺が?
日本中で最も、この街を自分の都合良く振り回して遊び満喫しているこの俺が?

でも、あの目。
帝人のあの目を見せ付けられたら、自分の目がどんな色をしていたかなんてもう思い出せない。だってアレが本当に、生きている目、なのだ。

「あーあ。帝人くんには本当に敵わないなー」

自嘲気味に、呟く。そのとき、背後で小さな気配がゆれ、振り返る。
帝人が眠そうな目をこすりながら顔を出した。

「……いざあさんはお昼間に起きれるんれすね…」

舌ったらずな喋り方と仕草は、昨夜自分をざっくりと切り捨てた相手とは思えない程あどけない。そこが彼の言葉を真実であると物語っている。
その様子がとても愛しいのだ。

「ニンゲンは夜は眠る生き物だからね」
「…そうですねー」

ほてほてと歩いてくる体が不安定で、臨也の腕の中にその小さな体を抱え上げた。
普通の子供よりも軽いとは言っても、普段それほど重労働をしない臨也の腕は、ここのところの抱えすぎで、ちょうどその時に使う筋肉に疲労を溜め、筋肉痛を起こしている。
その鈍痛に眉をしかめれば、腕の中で帝人が首を傾げた。

「あの、重いなら降ろして下さい。僕、歩けますし」
「そう?でもこれは俺の勝手なの。だいたい君は、昼間は眠ってていいんだよ?眠いんでしょ?」
「……それは僕の勝手です」

抱きしめた子供の匂いを嗅ぐようにその首筋に顔を埋める。
くすぐったがって身を捩るが、その匂いに埃っぽさを感じてもう1度大きく吸い込む。
そういえば、昨夜は人ごみの中を歩き回ったのだ。それでも帝人も臨也も入浴はしていない。
吸い込まれる感覚と、臨也の足が向かった方向に、帝人はやや怯えた声を出した。

「い、いざや、さん?」
「駄目。お風呂に入るよ。これも大事な人間の文化だからね」
「…ひぐっ、ぼ、僕お風呂はいいですぅ!!」

筋肉痛の腕が悲鳴を上げているが、臨也は嫌がる子供を抱き連れたまま浴室へと向かった。
手早く帝人の服を脱がせようとするものの、思う存分抵抗されてしまう。疲れが溜まっているせいでついイラついて、嫌がる子供を放っておいて自分の服を脱ぎ始めた。
その様子を、抵抗を止めて物珍しそうに帝人が見つめてくる。
さすがにベルトを外し、スボンを脱ぐ手前で、その視線に居心地悪くなり、臨也はその手を止めた。

「あのねえ帝人くん。そんなに見つめられてると脱ぎ難いんだけど」
「…っあ、すみません」
「何?人の体、興味あるの?」
「………ぼ、僕らとは、違いますから……」

純真無垢な分、強烈な興味を浮かべていた視線を慌てて反らし、帝人はぷいと俯いた。その姿を見下ろしながら、臨也はふといいことを思いつく。

「そうだよねえ、種族どころか生きてきた環境が違う生き物なんだから、見た目に大差はないにしても、どこかしら違いがない方がおかしいよねえ。ということで俺も帝人くんがどういう構造してるのか、興味あるなあ。ほらこういうのって、対等じゃないと、ね?」
「うう…」

言っていることがすぐに分かってくれる聡いところも気に入っている。
帝人は少しだけチラチラと臨也を振り返り、半裸のまま仁王立ちで待っている男に諦めがついたのか、もぞもぞと自分で服を脱ぎ始めた。
正直、触ることを頑なに拒否する尻尾の付け根とか、この生物の生殖器が人間をまるっきりコンパクトにしただけの造形なのかとか、下世話な方向で気になっている。しかしそこは誰であれ、こういう見た目をしている生き物に対して、純粋に興味が出るところだろう。
そういえば、帝人くんはトイレに行ったろうか?
けして自分は小児趣味ではないので、欲情するとか、そういう感情は全く持って生まれてこないのが幸いだ。ほんの少しの性欲も帝人には抱きたくない。汚しがたい存在、という意味で。

「俺は先に中にいるからねー」
「あ。ズルいです!結局お風呂に入れるつもりですね!?」

手早く服を脱いで、浴室に繋がる扉を開く。
先ほど起きてからまず湯張りボタンを押しておいた浴槽には、きっちりと適温の湯が沸かされており、もうもうと白い湯気を立たせていた。全く、文明万歳と言うしかない。
きっと飛沫を嫌がるである子供を予想して、先に手早く体と髪を洗ってしまう。