希望と光のSS4つ
不思議に思って瞳を覗き込んだ。赤い両目はきょとんとして、ぱちんとひとつ瞬きして、それから僕を覗き返した。
「タケルくんの目は青いのね」
「ヒカリちゃんは、赤いね」
「そういえばヤマトさんも、タケルくんと同じ色」
「兄弟だからだよ」
「わたしのお兄ちゃんの目はわたしと同じじゃないよ」
「あれ?どうしてだろう」
「やっぱり変かな」
「うーん、変っていうか、不思議だね」
「…そうね、不思議」
「うん、不思議だけどキレイだ」
「キレイ?」
不自然なほどの近距離だったのに僕たちは自然な速度で会話をした。顔が近いから、潜めるような小さい声で充分に届いた。
幼かったからできたことだ。
「ヒカリちゃんの目の色はとてもキレイだ」
こんな素直な感想を口に出来たのも、あの時の僕らが幼かったから。
今じゃもう距離は離れて、小さな声では届かない。
「ヒカリちゃん!」
大きな声で僕はあの子を引き止めた。