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GUNSLINGER BOYⅤ

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君の拒絶





『君は一体何?』
「しゃ・・会、福祉公社、作戦二・・課の、義体です」

『君の担当官は?』
「折原、臨也さん、です」

『君の名前は?』
「み・・ど、帝人、」


考え事をしている間に、帝人の検査ははじまっていた。


「大丈夫かなぁ・・・」

ガラスの向こうで頭に機械を取りつけられ、うわごとのように質問に答えている帝人を見ながら、新羅は呟いた。

条件付け検査。

義体達の無意識下に直接質問をし、答えさせることによって洗脳が上手くいっているか、思想に問題は無いかなどをチェックするのだが・・
帝人に関しては今回、不安要素がいつも以上に多い。
帝人は担当官である折原臨也が必要最低限以上の条件付けを拒否しているため条件付けが弱すぎる可能性がある。
それだけならまだしも、ここ最近臨也と何かあったのか表面上平気なふりを装っているが精神的にずいぶん落ち込んでいるようだ。

もし考え方や思想に問題有りと判断すればこちらから強制的に介入しなければならない。
そうなれば強力な薬をつかわなければならないし、記憶にも若干の障害が起こる可能性がある。

もしそうなったら・・あいつ、キレるだろうなぁ・・・・。
八つ当たりで殺される前に逃げた方がいいよね。そうなったら。

帝人はそんな新羅の思惑をよそに銃の種類や扱い、公社についての質問などに答えていく。
他の研究員たちもなるべく強制介入はしたくないと思っているため、その様子をかたずを飲んで見守っている。


『体が傷つくことへの恐怖は?』
「ありま、せん」

『義体である君の使命は?』
「臨也さんを、守ること・・、公社のために、戦う、こと」


公社よりも臨也の方を先に答えてしまった。
まぁ・・これぐらいはセーフか・・。


『担当官に対して、どう思っている?』
「い・・ざや、さんは、大切な人、です」
『どういう風に大切?』
「いとしい、ひと・・で、す。何があって・・も、守りたい人、です」



『これまでの質問への返答が条件付けによるものだと、君自身の自覚はある?』



その質問に、初めて帝人は答えにつまった。
技術部の人々に緊張が走る。
中々答えない帝人に質問が繰り返される。

『これまでの質問への返答が条件付けによるものだと、君自身の自覚はある?』
「っ・・・・」
『答えなさい』
「・・あ・・りま・・・・・・・ちがう・・・・ちが、・・・・・あ゛、あぁ・・あ・・・あ・」


唐突に電波の乱れたラジオのような声が帝人の口から漏れだした。

目を覆っている機械の隙間から涙が流れる。
機械を操作していた技術者が主任格の人物に支持を仰いだ。


「先ほどの質問で何か彼の無意識下の地雷を踏んでしまったようです・・精神が不安定になって脳波が乱れていますが、質問を一旦中止しますか?」
「いや・・・まだ続けよう。もう少し突っ込んだ質問を」
「了解しました」


『違う、とは何が?』
「・・いざや・・・さ・・は・・・・・・ちが、う、違っ・・・ぁっああ゛っ・・・」
『どういう風に?』
「っ・・・・はっ・・・・ぅ、あ゛っ・・・・やだ、や・・・・・・っ・・・ああ、あ゛っ・・やだ・・・・っ・・・」


意識は無いはずの帝人がふるふると駄々っ子のように首を振る。
どうやら、よっぽど答えたくないらしい。
質問は続く。
しかし完全に拒絶態勢に入り心を閉ざしてしまった帝人は何を聞いても答えず、漏れるのはほとんど意味をなさない声ばかり。
そろそろ本気で止めに入った方がいいかと新羅が思ったところで検査は終了となった。

普通は機械を止めて頭から外したら目覚めるはずが、ぐったりしていて起きる気配が無い。
負荷をかけすぎたらしい。
帝人の体はそのまま医務室の方へ運ばれていった。



作品名:GUNSLINGER BOYⅤ 作家名:net