moria
ゆるりと臨也の口角が上がる。心を預けたような帝人の横顔が見える。その瞬間、青葉は悟った。こいつが仕組んだのだ、と。
ブルースクウェアに恨みのある人間達にチームの情報を流したのも、そうしておいて爆弾と情報操作で彼ら同士をぶつけ合わせて処理したのも全て。理由は動機は目の前の横顔が語っていた。
帝人を信用させ、信頼させ、傾倒させるためだけにこいつはこんな大掛かりなことを……!
信用ならないどころではない、こいつは明確に敵だと青葉は確信した。彼は体現してみせたのだ、帝人が手に入るならブルースクウェアなど青葉など切り捨ててやると。
切り捨てられてたまるか、と青葉は決意を新たにした。
パトカーと消防車のサイレンが大きくうわんうわんと頭蓋にこだまする。警報をバックミュージックに夜は更けていった。