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moria

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短めにチャイムが鳴って、おや我が愛しのセルティがお帰りだ、と新羅はいそいそと玄関扉を開けた。
途端、駆けこんできたセルティの勢いに押されて、思わず体を引いてしまう。ただいまも言わず部屋に向かうセルティに「お帰りセルティ、どうしたんだいご機嫌斜めだなぁ」と声をかけるに留まった。それでも声をかけられる辺りが新羅である。
『最悪だ!』
どうやらPDAを部屋に忘れていたらしい。リビングに戻った新羅の隣に座り、ぷかぷか首から黒煙を吐きだしながらそんな文字を見せつけるセルティは随分御立腹のようである。
「一体全体どうしたんだいセルティ。私には何が起きたのか皆目見当もつかないよ。ちゃんと話してくれなきゃ」
『臨也だ、臨也の荷物。あいつ合法なものだって言ったよな』
「確かに言っていたね、うん、一言一句思い出せるとも」
『何処が合法なものだ! 運んでいる途中に爆発したんだぞあれ!』
「爆発だって!セルティ、君の美しい体に傷なんてできてないだろうね」
『出来ている訳がないだろう! 後部で爆発したから、シューターが怯えて可哀想なくらいだ』
思い出して腹が立ったのか、また途切れた首から黒煙を吐きだしてセルティはPDAを叩く。
『おまけに池袋でも爆弾事件があったって言うじゃないか! 臨也の奴、私に爆弾を運ばせていたんだぞ! わかるか、爆弾をだ! 私をお尋ね者にさせる気だったのかあいつ!』
「それこそ島原大変肥後大迷惑、お門違いだよセルティ。そういうことは私じゃなくて臨也に言わなきゃ。まぁ、僕には如何とも言い難いね。あいつのフォローをする気もない。ただセルティが怒っているのはいただけないな。そりゃセルティは怒っている姿もチャーミングさ、だけどやっぱり私はクールビューティーで楚々としたセルティが一番というか……」
『五月蝿い!』
ぶん投げたPDAは違わず新羅の顔面に直撃し、その勢いで後ろにひっくり返ってしまった新羅に『私はシャワーを浴びてから寝る』とPCに書き置きを残してセルティはすたすたと歩いて行ってしまった。
「やれやれ、今日のセルティは本当にご機嫌斜めだなぁ。今度折原に会ったらきつく言っておかなきゃ」
遠くに流れる水音を聞きながら一息で起きあがった新羅はコーヒーでも淹れようとぺたぺたスリッパの音をさせて台所へ向かった。



「おはようございます、帝人先輩、杏里先輩」
いつも通りの登校中、竜ヶ峰帝人とはち合わせた園原杏里が言葉少なに会話を交わしていると、聞き慣れた少年の声が耳に飛び込んできた。
よくよく今朝は知り合いと会う日なのだ、杏里は「おはようございます」と振りかえって、目に飛び込んできた青葉の姿にぎょっとした。
「どうしたんですか、その傷」
腕や足こそ制服に隠れて見えないが、露出した首筋や頬に大きなガーゼを貼っている。そうでない箇所も引き攣れたような変色した皮膚が覗いていて、殴られたかぶつけたかしたであろうことは想像に難くない。
「ちょっと喧嘩、しちゃいまして」
夜の池袋は怖いですねと苦笑しながら青葉が言うのに杏里は痛ましげに顔を顰めた。
「気をつけてくださいね」
ね、と帝人に同意を求めるように杏里は首を傾げる。
「本当だよ、青葉君。あんまり危ないことしちゃ駄目だよ」
追従するようなその口ぶりに、あなたがそれを言うかと青葉は息を吐いて、「元々喧嘩は好きじゃないですよ」と肩を竦めた。
足元でかさかさ枯れ葉が音をたてた。踏みしだかれてぱりぱり乾いた音を出す。冬に近い、乾燥した空気だった。夏が終わってこんなに時間が経ったのに、まだ冬にもなっていなかった。
「本当なら、首を突っ込みたくもなかったんですけど」
くぁ、と大きく欠伸をすれば治りかけの皮膚を引っ張るようにガーゼの下の傷が痛んだ。横に並ぶ杏里や帝人が心配そうな目でこちらを見るのを感じながら青葉は言葉を続けた。
「仕方ないんですよ」
杏里はよくわからない、といった顔で青葉を見、帝人は近づいてきた校舎の門扉をつまらなそうに眺めた。靴底からざりざりと乾いて擦れた音がした。
下駄箱で靴を履き変えて、それじゃあと青葉は作りものの笑顔で手を振った。きっと今日はもう帝人に会うことはないだろう、と予感しながら。それでよかった。今はまだ。
杏里はまだ表情を暗くさせたまま、
「黒沼君、心配ですね」
そう視線を廊下に落とした。木目のない日に焼けたフローリングは無機質だった。
「あんなに怪我するなんて、僕らも気をつけないといけないね」
穏やかに和やかに、素知らぬ顔で帝人は続ける。自分はいつの間にこんなに嘘が上手になったのだろうか、という微かな自己嫌悪は知覚されることもなかった。
「竜ヶ峰くん、今日の放課後の委員会のことなんですけれど」
ふと、思い出したように杏里が言った。少し途切れてしまった会話が気まずくなったが故のあたりさわりのない話題。
「そういえば、委員会あったんだっけ」
しまったな、と帝人は頭を抱える。
「ごめん、本当にごめん! 放課後は用事があるんだ!」
杏里は目をまるくして、珍しいですねと呟いた。
作品名:moria 作家名:nini