angel lamp2
苛々しながら、扉の前まで行くと、そっと扉を開ける。
彼女は、驚いたように僕の顔を見て、
「あ・・・おはよう、カイト」
ふわりとほほ笑んだ。
「・・・おはようございます。何か、御用ですか?」
「え?あ・・・用がある訳ではないの。ただ、お部屋にいるかと思って・・・ごめんなさいね」
何故謝る?
彼女は、僕の所有者で、僕は人形なのに。
「朝食は、どうされますか?何か、食べたいものはありますか?」
「あ、あの・・・大丈夫よ。自分で作れるから」
その言葉に、思わず、
「僕は、娯楽用の人形ですが、役立たずではありません!」
強い口調で言うと、彼女は、驚いたように目を見開き、
「そんなつもりは・・・ごめんなさい、カイト」
悲しそうな顔で目を伏せた彼女に、余計苛立ちが募った。
どうして、彼女が謝るんだ?
どうして、そんな顔をするんだ?
どうして、僕に命令しないだ?
苛々する気持ちを、ぐっと押さえこんで、出来るだけ平静な声を出す。
「あなたから、教えて下さらないと、僕には分かりません。朝は、何を召し上がりますか?飲み物は?ベッドまでお持ちしましょうか?」
僕の言葉に、彼女は、ふっと息を吐いて、
「・・・朝は、そんなに食べないの。紅茶と、果物を用意してくれる?私が起きて、声を掛けてからでいいから。食事は、下でするわ」
「かしこまりました」
彼女は、僕に背を向けて、階段へと向かった。
後ろからついて行くと、階段の手すりにつかまった彼女が、ふと振り向いて、
「ごめんなさい・・・無理に連れてきてしまって」
そう言って、足を引きずりながら、階段を下りて行く。
・・・今更、そんな言葉は、聞きたくない。
苛々しながら、彼女の後をついて行った。
作品名:angel lamp2 作家名:シャオ