angel lamp2
庭の手入れを切り上げ、館に戻ると、彼女が書斎から出てきた。
「カイト、さっき、子供の声が聞こえたようだけれど」
「はい。村の子供達が何人か、生垣のところにいました。声を掛けたので、驚いたようです」
「そう。それで」
彼女は、ふっと寂しげな笑みを浮かべると、
「悲鳴のようだったから、何かあったのかと思って」
・・・・・・・・・。
右耳の聞こえない彼女に、内容までは届かなかっただろう。
けれど、悲鳴の理由は、分かっているのだ。
そう思ったら、何故だか、彼女の顔を見ていられなかった。
僕は、不自然にならない程度に、視線を逸らすと、
「お茶を用意しましょうか。書斎に持っていきますか?」
「ありがとう。居間に持ってきてくれる?少し疲れたわ」
「分かりました」
彼女は、時折、居間の安楽椅子で、うたた寝をしている。
今日も、そのつもりなのだろうと思いながら、僕は台所に向かった。
作品名:angel lamp2 作家名:シャオ