angel lamp2
ベッドの中に潜り込んで、体を丸めていたら、扉の外に引きずるような足音と、囁き声が聞こえた。
「カイト、起きてる?」
「・・・はい」
のろのろとベッドから這い出して、扉に向かう。
部屋の外に、彼女が立っていた。
「そろそろ、お夕飯にしましょう」
「・・・はい」
後ろからついて行きながら、そっと視線を向けた先に、白い手袋が見える。
息苦しくなって、思わず視線を逸らした。
「昼間は・・・すみませんでした」
「え?」
「書斎の片付けを・・・結局、任せてしまって・・・」
「いいの。気にしないで。出しっぱなしにしていた私が、悪いんだから」
ふわりと微笑む彼女に、思い切って、
「あのっ!こ、子供達は・・・どうなったでしょうか・・・?」
「子供?」
首を傾げる彼女に、子供の悲鳴が聞こえたことを説明する。
あれから、騒ぎになった様子はなかったので、無事だとは思うけれど・・・。
でも、万が一、何かあったとしたら・・・
「大丈夫よ。あのミズチに、毒はないから」
彼女は更に、あのミズチには攻撃性がなく、子供達を追いかけたのも、一緒に遊ぼうとしたからだと言った。
「子供達を、驚かせてしまったけれど・・・攻撃性を取り除くと、どうしても幼児化してしまうの」
「そんなことが・・・できるのですか?」
もしかしたら、彼女は、かなり優れた魔道士かも知れない。
召喚した魔物の特性を変えてしまうなんて・・・初めて聞いた。
それも、何かの実験なのだろうと考えていたら、
「ええ・・・今言ったように、完全ではないけれど・・・あなたがいるから」
「えっ?」
思わず聞き返すと、彼女は微笑んで、
「カイトに何かあったら、大変でしょう?」
当然のことのように言って、ゆっくりと階段を下りて行く。
僕の為に・・・?
思わず、ぼんやりと彼女の後姿を見送ってから、慌てて階段を駆け下りた。
作品名:angel lamp2 作家名:シャオ