angel lamp3
館に戻ると、二人は居間に座っていた。
彼女は、僕の姿を見つけると、ふわりと笑って、
「ありがとう、カイト」
「いえ・・・今、お茶をお持ちします」
彼が、彼女の方に顔を近付け、何事か囁くと、彼女がくすくす笑う。
僕は、二人に背を向けて、台所に向かった。
・・・彼は、マスターと婚約しているのに。
来るのなら、マスターも連れてくればいい。
一人でこそこそ来て、これじゃあ、まるで・・・まるで・・・
トレイに、来客用の、青いバラが描かれたティーカップをセットしながら、苛々して頭を振る。
彼女の世話をしているのは僕だ。彼じゃない。
でも、僕には、あんな風に笑ってくれない・・・。
ふと、窓の外に目をやった。
庭にある、バラの生垣が目に入る。
マスター。
どうして、来てくれなかったのですか?
こんなにも、あなたに会いたいのに。
作品名:angel lamp3 作家名:シャオ