angel lamp3
トレイを持って、居間に戻る。
彼が、彼女の右手に目をやって、
「手袋なんて、どうしたんだい?怪我でもした?」
彼女は、困ったように微笑んで、
「・・・乾燥するから。最近、晴れた日が続いたでしょう?」
「そう。酷く痛む?」
「大丈夫よ、ありがとう」
・・・いっそ、耳が聞こえなくなれば良かった。
そうすれば、こんな気分になることもないのに。
それでも、音を立てないよう、最大限に配慮して、カップを並べる。
彼が、くすりと笑って、
「どこかで見たようなティーカップだね。俺が見たのは、赤いバラだったけれど」
「ええ、同じお店で揃えたから。彼女は、赤が好きでしょう?」
その言葉に、マスターのことを話しているのだと分かった。
マスターは、赤いバラが好きだから。
「そうだね。そして、君は、昔から青が好きだった」
作品名:angel lamp3 作家名:シャオ