angel lamp3
彼は、「夕飯を一緒に」と言う彼女の誘いを断り、日が暮れる前に帰らないと、と言った。
「名残惜しいね」
「また、いつでも遊びに来て。歓迎するわ」
彼が、彼女の頬にキスするのを見ないようにしながら、僕は、馬車を連れてきた。
「彼女に、会えなくて残念だったと伝えて。今度は、是非二人で来て頂戴」
「伝えるよ。彼女も、君に会いたがってる」
「カイトも、会いたいと思うから」
彼女の言葉に、彼は、初めて僕に気がついたように、
「ああ。そう言えば、彼のマスターは、まだ彼女なんだっけ?」
「ええ。でも、良くしてくれるわ」
そう言って、彼女が微笑む。
手綱を握りながら、目を逸らした僕の耳に、彼の言葉が聞こえた。
「でも、本来のマスターは、君なんだろう?」
作品名:angel lamp3 作家名:シャオ