angel lamp4
衣擦れと、足を引きずる音に気がついて、扉の前に立つ。
遠慮がちなノックの音に続き、彼女の囁き声が聞こえた。
「カイト、起きてる?」
「起きてます。おはようございます」
扉を開け、声を掛けると、彼女はふわりと微笑んで、
「おはよう、カイト」
そう言って、階段の方に歩き出す。
僕も、後ろからついていった。
階段の手すりに伸ばされた手を、後からそっと取る。
「カイト?」
いぶかしげな顔をする彼女に、思わず視線を逸らした。
「・・・いけませんか・・・?」
「え?・・・ううん、そうではなくて」
ためらいがちに、手を引っ込めようとするのを、両手で包んで、
「少しでも・・・お役に立てたらと・・・」
彼女は、驚いた顔をした後、いつものように微笑んで、
「あなたは、いつでも役に立ってくれているわ」
それなら、僕をずっと、側に置いてくれますか?
辛うじて、言葉を飲み込む。
彼女の手を取ると、体を支えるようにして、ゆっくりと階段を下りた。
作品名:angel lamp4 作家名:シャオ