エトワール詰合せ
『中庭の声』
中庭から楽しそうな声が聞こえてきた。
空気が揺らぐ。
『女王』
「分かってるわ。ごめんなさい」
コレットは閉ざしていた目を開き、深くため息を吐いた。
『集中できないのは彼のせいか』
「そう見える…?」
守護聖獣と交感し、聖獣の宇宙に身を委ねていた女王の『気』が突然崩れたのは、中庭から届く楽しげな笑い声が聞こえてからだ。
『そう』見えない方がおかしい。
アルフォンシアは無言で女王に自覚を促した。
『彼が邪魔だというなら』
「邪魔じゃないわ。アルフォンシアなら、分かるでしょう?」
『………分からない。邪魔だというなら消してやる』
「アルフォンシア!!!」
いきなり子ども返りをした宇宙の意志を叱り付ける。
聖獣は拗ねた気配を残して、気配を消してしまった。
一人残され、コレットはため息を吐く。
「邪魔じゃないわ。…羨ましいだけよ」