トロワ詰合せ
『オスカーとコレット』
可哀相に…。
明るく笑う瀟洒な青年。彼を見ていたら、不意に切なくなった。
これほどに力強く明るい人でさえ、宇宙の生贄なのだ。
「どうしたんだい、お嬢ちゃん」
「いえ…。あれから色々あったから、変わらないオスカー様を見てほっとしました」
「そうか。俺の話でお嬢ちゃんに笑顔が戻るなら、俺にとっても嬉しい話だな」
軽く、煌くように心を誘う。本気ではないと、その瞳が、軽く上向く唇の端が語っている。
初めて言葉を交わした時、その大人の魅力に心揺らされた。不思議なほどに心惹かれた。
いまも惹かれないわけではないけれど、一種様式美めいた彼の駆け引きでは、もう心は震えない。
「ふふ。相変わらずですね」