二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

やっちゃった

INDEX|4ページ/13ページ|

次のページ前のページ
 

「にぎやかですね向こう」
『本当にな。黙らせてこようか』
「いいいえ!!大丈夫ですよ!?」

まさか妄想と憐れみトークが別室で行われているとは考えもせず、帝人とセルティは大人しくリビングで紅茶を飲んでいた。
それでもチラチラと別室へと目を向けてしまう。

(臨也さんが、そこにいるんだよな・・・って女々しいのはなし!考えない!)

ぶんぶんと頭を振る帝人に、きっと首があったら不審な目を向けただろうセルティが代わりにPDAに打ち込む。

『帝人、顔赤いぞ?もしかして風邪か?新羅に診察させようか?』
「だいじょぶでっす!!あ、す、すみませんなんかテンションおかしくて・・・」

はぁ、と息をつく帝人は切実だ。
たとえセルティに臨也への恋心がバレてしまったとしても最悪仕方がないが、バレたら最後かならず口(手)をすべらせるだろう。セルティは妖精らしく人を謀ることに長けていない。
現に今も帝人のぎこちない躱し方に対して、そういうものかと頷いてすらいる。

『思春期というやつだな。新羅にもそういう時期があったぞ』
「新羅さんの、テンションが、おかしい時期・・・?今よりですか・・?」
『そんな引きつった顔をするな。浮き沈みが激しいというか・・高校生のうちはそんなものなのかな』

帝人からすれば新羅のテンションは常時おかしい。

(セルティさんデュラハンだもんなぁ、人間の感覚とは違うんだろうな)

手持無沙汰にカップをいじりながら帝人はふと高校生と言えば・・と思いついた。

「そういえば臨也さんと新羅さんって高校同じなんですよね?」

臨也、と言葉に出すとなぜか気恥ずかしくなってしまう。顔赤くなってないよね・・と内心で不安になりながらセルティを覗き見れば、カタカタとPDAに打ち込んでいる最中だった。

『あぁ。それはそれはやんちゃだったらしい』

やんちゃ、という言葉がそこはかとなく時代を感じさせるのは気のせいだろうか。
というかそんな程度の言葉で済ませられるような青春時代ではなかったのだが(特に静雄にとっては大変気の毒なことに)帝人は自分が知らない臨也の過去ってどんなものなんだろうと、少しワクワクしてきてしまっている。

(もし同い年なら、僕は臨也さんのこと好きにならなかったのかな・・逆に友達とかになってたり。でもダラーズがなかったら臨也さんは僕のこと意識もしなかっただろうし・・・・だけど授業とかお昼とか一緒に、とか・・・うわぁ)

想像にニヤケそうになるのを必死に引き締める。
ダラーズでも情報屋でもない自分たちが、同じ学校で同じ教室で一緒だったら、どんな関係だっただろうと胸を膨らませる。
同い年だったら臨也の今よりセーブの効いていない最悪な部分と直面することによって、帝人が臨也のことを嫌いになることもありえるのだが、帝人はその可能性を全く考慮しなかった。
そこに無意識下での臨也への好意が現されているのだが、それには気付かないまま

「えと、臨也さんってどんな人だったんですか?今と同じような?友達っていたんですか?情報屋とかいつからなろうと思ったんでしょうね?あ、成績もすごい良さそうな感じがします!」
『ま、待て、打ち込みが追い付かない』
「あっ、す、すみません・・・」

質問責めに慌てるセルティを見て、今度は本当に赤くなってしまった頬を隠すようにうつむいた。
奥の部屋ではまだ臨也と新羅のぎゃいぎゃいとうるさい声が聞こえてきている。
何を話しているのかはわからないが、その部屋のほうをチラチラと帝人の視線が行ったり来たりしているのを認めて

『帝人は臨也のことが知りたいのか?』

と打ち込むと、ビクッと帝人の肩が跳ねた。

「えっ!?あ、そ、そりゃ非日常的な人ですから・・・その、深い意味はないんですけどっ!!全くないんですけどっ!!」
『落ち着け!えーと、臨也か・・・・』

胸の前でパタパタと両手が意味もなく振られる。
結局部屋のほうもセルティのほうも見れず、また俯いてしまった帝人の後頭部に、ないはずのセルティの視線が集中しているのがわかる。

(あぁ不審に思われてるよ・・!だから女々しいのなしだってば僕!落ち着け!)

そして全然落ち着けていない状態のまま、新羅と臨也が扉から出てきてしまった。

作品名:やっちゃった 作家名:ジグ