【臨帝】SS【詰め合わせ】
※臨也×ショタ帝人※
【このうでのなかで】
「おやすみなさい いざやさん」
「おやすみ、みかどくん」
いつも通りの、寝る前の風景。
お気に入りのクッションを持ってぺこりと頭を下げるみかどのその額に、臨也は腰をかがめて口付けを落とした。
ふにふにとした紅葉のような手をおでこに当てて「あわわわ いっ いざやさん!」なんてすごんでみるけれど、真っ赤に染まった頬を見たら微笑みしか浮かばない。
誤魔化しに「湯冷めする前に寝なよ」なんて頭を撫でたら、今度は耳まで真っ赤にして「おやすみなさい!」と彼専用の布団にもぐり込んでしまった。
「……参ったな、」
今夜は冷え込むらしいと晩のニュースで言っていたことを思い出し、臨也はぽつりと呟いた。
「…ん……、あれ、」
ふわ、と、浮上するような目覚め。
底冷えするような寒さを想像していたものの、思ったよりも温かい。
むくりと上体を起こしたところで、ごろん、と何かの転がる感触がシーツの上を滑った。
「……昨日一緒に寝たっけ?」
熱源となっていたのはどうやらみかどだったらしい。
臨也の隣ですやすやと心地よさそうな眠りについている小さないきものは、ふわりと起きた風に気づくこともなく夢の世界を漂っている。
その目元が、仄かに赤らんでいた。
「ああ、」
怖い夢でも見たのか。
何とはなしにそう悟る。
少し冷えた指先でふくれた頬をつつけば、幼子の熱が先からじんわりと伝わってきた。
離しがたい。そんな気持ちが湧き上がる。
もう目はすっかり覚めているけれど、まあ、二度寝も悪くない。
温もりの残る布団に潜り込み、あたたかなかたまりを腕の中にすっぽりとおさめる。
「おやすみ」
今度は幸せな夢の中で。
作品名:【臨帝】SS【詰め合わせ】 作家名:志保