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サイハテ

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 つながる質問の意図が分からなかったのだろう。戸惑うアキラに、なおも源泉は続ける。
「いいから答えろ」
「――!」
 口を開こうとしたアキラが、驚愕に目を見開く。おそらく、そんな簡単なこと……などと答えようとして、しかしその答えがわからなくなったのだろう。
「……なるほど、な」
 そうして、源泉はひとりごちる。そういうこと、か。
「いっぺん、おまえさんを病院に連れて行と思う」
「病院、って……」
 アキラは病院に連れて行かれるのを嫌う。風邪をひいたときも(風邪をひくこと自体めったにないが、一度ひどく高熱を出してしまった時があり、さすがにこれは医療機関を受診させるべきではなかろうかと源泉も悩んだ)市販薬にさえ頼らずに済ますほどだ。
 理由が、もちろんその体にわけのわからないウィルスを飼っているせいだということは重々承知している。
「大丈夫だ、ENEDどころかrabbitの息もかかってない」
 大戦前からの旧体制を引きずったCFCの一会社は、結局その後の内戦をうまく生き残って日興連側に取り入った。というより、表向きの顔としては製薬会社の最大手なわけで、それでも一般国民にとってもなくては困る組織と化してしまっていたことも遠因だろう。
 その後もrabbitは他の組織との吸収合併を繰り返して、再生した日本の随一の医療関連企業と化していた。
 そんな組織の息のかかってない医療機関、ともなると相当まれな存在で、それこそ辺鄙な場所にある小さな診療所か、あるいは――
「ENEDを追ってる……なんつーか、反政府組織の関連施設の病院なんだよ」
 あるいは、どうあってもrabbitを排除しようとする意図でもって運営されているようなところでないと、ならない。
「最近こそこそ調べまわってたのはその事か」
 息をつくようにアキラは呟く。
「やれやれ、おれも優秀すぎるアシスタントをもったもんだ」
 ひとつ、頭をかいて溜息をつく。
「お前さんの体も治す、って言ったろ? いっぺん、ENEDと関係ないところで診てもらう必要はあると思ってたんだ」
 非Nicoleが宿主の体に何らかの影響を及ぼす可能性は高い。わかっていたことだ。ただ、その『いつか』を決めていなかった。結局――目を、背けてしまっていた、ということなのだろうか。最悪の可能性から。
作品名:サイハテ 作家名:黄色