さよなら、神様。
「泣きたいなら、泣いてもいいんじゃねーの?」
ギルベルトは俺の頭をぽすっと撫でた。こういうときばかり兄貴面しやがって。俺の頭の中はぐるぐるしていた。姉さんが幸せになれるのは嬉しい。けど、きっと結婚したらもういままでのように一緒には暮らせないだろう。嬉しいのか悲しいのか、切ないのか楽しいのか、笑えばいいのか泣けばいいのか、わからない。わからないけど、このぐるぐると心と頭を回る、ない交ぜの気持ちは、ただ一人、俺だけのものなのだ。ぽすぽすと無言で頭を撫で続けるギルベルトに、少し気恥ずかしい思いを抱きながら、俺は音も立てずに一つだけ涙を零した。
窓の外の星空はとてもとても綺麗で、俺はそれを見て嘲笑った。
「くそったれ・・・」
神様なんて、いなかった。少なくとも、俺のところには。