それすらも、愛しき日々。
ところで今のは。渋沢キャプテンがどうとかこうとか。
キャプテンを罵倒できるなんて三上先輩くらいだと思ってたけど。根岸先輩もかなり恐いもの知らずだな……。
まぁあの辺りのレギュラーの人達は仲がいいから、気心が知れてるんだろう。
でも俺にとっては別格の上の人だ。
……尊敬とは別の意味で、好意を持ってる人でもあるけど。
キャプテン、三上先輩と同室なんだ。それだけじゃなくかなり親しくて、周りに反感を買いやすい三上先輩をフォローするっていう、後輩の俺から見てもすぐ分かるくらいキャプテンは三上先輩を気にかけてる。
それで部のムードに円滑に保たれてる感じだし、とにかく頭の上がらない人だ。
ふと気がつくと、ディズニーランドのやたら派手な土産袋をガサガサさせながら、同じ2年の高橋がこっちに向かって来ていた。
「洗濯混んでた?」
「混んでる混んでる。満タン」
「ぶぅ。これから行こうってのにー」
「そろそろ終わるのがあるかもしれないし、一応行ってみれば?」
「そーする」
そして入ったランドリールームには
三上先輩がいた。
ぎゃー!
「ど、どもっす」
「……んー……」
顔を動かさないままのそっけない返事。
けど俺は異様に緊張してしまう。
ささっと見回して、全部使っているのを確かめると
「じゃあ失礼しますっ」
「待てよ」
はい!?
「な、何ですかッ!?」
「……俺のも少ししたら終わるから、待ってればいいんじゃねーの」
なんという優しいお言葉!!!
こんな所で会うとは思ってもみなかった。そう、三上先輩は…
三上先輩は、俺の憧れの人なのだ!
カッコいいし、頭いいし、モテるし、何より同じMFというポジションで、堅実なゲームメイクをする司令塔として尊敬している。
うちの部ではやたらキャプテンが神聖化されてるけど、俺としては断固!三上先輩を、推す!(…何に?)
そりゃ多少は付き合いづらくて、話しかけられるとビクっとしてしまうような口の悪い人だし、機嫌のよくない時なんかそれはもう恐いんだけど、それを補ってもあり余る魅力がある。
俺は、先輩という枠を越えてこの人を「師」としているんだ。
某ドラマの滝〇風に言えば「俺、先輩になら抱かれてもいいっス」!!!
はぁ…。
カッコいいぜ、ちくしょうめ。 ←男らしく言ってみた
作品名:それすらも、愛しき日々。 作家名:あおい