それすらも、愛しき日々。
うんうん。先輩なら当然だよなー。こんな人をフリーでほっとかないよ、普通。
思い返せば、寝不足そうにふらふらしてたり、腰に力が入ってなかったり、そういうことあったもんな。どうして今まで俺は気づかなかったんだ……。
ますます尊敬してしまった。
きっとキスとかもめちゃめちゃ上手いんですね。もう女の子はメロメロのクラクラ。「帰したくない…」なんてぎゅっと抱き寄せれば、女の子は戸惑いながらもそっと寄りかかってきて、2人は優しく抱き合う!そして体を離して、恥ずかしいから目を合わせないようにしてもっかいキス…
って、不埒な妄想をしてる間に三上先輩が行ってしまったぁ!!
ぐッ…
挨拶するタイミングさえ逃してしまったではないか。禁欲しよう……。
深く反省しながら大型洗濯機の前に腰を下ろす。
気を取り直して。
あぁ。
これから三上先輩が使ったこの洗濯機で、俺の服がぐるぐるされるんだなぁ。
……ちょっと変態っぽいけど、ベッカムが着たシャツなら誰でも欲しがるはずだ。それと同じようなもんだと思ってほしい。
うきうきしながらガコっと扉を開けると
中に服が残っていた。
三上先輩の洗濯物!!
けっこうオッチョコチョイな人だったらしい。そういうところもまたいいなぁと思いつつ、奥の方にあるそれらを取り出す。
シャツ1枚。靴下一足。
……なんかこのシャツ……やけにでかくないか……?
これは三上先輩のというより、むしろ…
キャプテンの!?
キャプテンの服を洗った洗濯機で、俺の服がぐるぐるされるの!?
おげーっ。
失礼とは知りつつも逆らえない生理的な感情なので、許してください。キャプテン。
あ。こっちの靴下はでかくないから三上先輩のか。
それにしても、三上先輩がキャプテンの分まで一緒に洗濯したなんて驚きだぞ。
何となくそのシャツのしわが気になって、はたはたと振りながら頭を悩ませる。
ふと気がつくと、洗濯機の奥にさらに白いものが残っていた。
むむむ…。けっこう見落とすもんだな。
手を突っ込んで取り出して
取り落とした。
………………………………ッパ…………
パ………パ………パパパパパパ………っ!
パ……ンツ……パンツ………パンツ…ッ!!
あぁ、こんな連発すると俺が本当に変体みたいじゃないか!でもパンツ!パンツだよ!!
作品名:それすらも、愛しき日々。 作家名:あおい