【東方】東方遊神記12
一方残された銀杏は、元々あまり体が強くないうえに、夫が殺された・・・彼女はこう思っているのだが、その辛労と、普通の人間の赤子とは違う椛を出産したことによる体力の消耗も重なり、椛を産んだ後、数日で楓の後を追うように亡くなってしまった。残された赤子の椛は、銀杏の親族と、美理が協力して育てていくことになった。そして、それから百年余り。もう銀杏の親族も誰ひとり生きてはおらず、遂に天涯孤独となった椛は、初代天魔が亡くなり、新しく天魔の座についた御影から恩赦が与えられ、天狗の里に戻ることが許された。この時の美理の喜びようは相当なものだった。当の椛は、美理のしっかりとした教育のおかげで、天界の両親が見たら、きっと喜んでくれるだろうと思えるほど立派に成長した。そしてそれを評価した御影が、異例の若さで狗賓衆に任命し、後に狗賓衆で素晴らしい働きを見せる椛を、狗賓衆筆頭に大抜擢したのである。期せずして、椛は父の後を継ぐことになった。そして、現在に至る。世間からの風当たりは強いが、本人はめげずに本当に一生懸命頑張っている。加えて才能もある。御影は将来椛にもっと重要な役割を任せるのも大いにありだと考えるようになっていった。そしてもっと鍛えるために、色々と大変な仕事を優先的に椛にまわすようにしている。
話を元に戻す。そういった経緯があって、美理は椛のことを娘とも妹とも思うようになった。なので、まだまだ子供である椛には極力危険なことはさせたくないのである。
作品名:【東方】東方遊神記12 作家名:マルナ・シアス